JPモルガン、中国で全額出資の証券会社 外資系初

【ニューヨーク=宮本岳則】米金融大手JPモルガン・チェースは6日、中国当局から証券事業の完全子会社化を認められたと発表した。外資系金融機関として初めての事例となる。現地企業向けに新規株式公開(IPO)の引受業務やM&A(合併・買収)助言などを手がける。米中対立が続くなかでも、ウォール街は成長市場である中国への投資を拡大している。
JPモルガンは2019年に証券事業の合弁会社を設立し、20年3月から営業を始めていた。中国証券監督管理委員会(証監会)からこのほど100%子会社化の承認を受けた。ジェイミー・ダイモン最高経営責任者は声明で「中国は多くの顧客とJPモルガン・チェースにとって、世界で最も大きな機会の一つだ」と述べた。
米中はトランプ政権時代の貿易協議で金融の外資規制緩和で合意していた。ゴールドマン・サックスも中国当局に対し、証券合弁の完全子会社化を申請済みだ。米資産運用大手ブラックロックは5月、資産運用事業の認可を取得した。
バイデン政権は前政権時代の対中強硬姿勢を引き継ぎ、人権や香港問題を巡って両国の対立は続く。一方、中国政府はIT(情報技術)企業の統制を強めており、海外投資家から不安の声が出ていた。中国の証券当局はJPモルガンの計画を承認することで、米中合意の履行と外資開放をアピールした形となった。
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