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米ディズニー、7000人を削減 動画配信赤字続く

(更新)

【シアトル=佐藤浩実】米ウォルト・ディズニーのボブ・アイガー最高経営責任者(CEO)は8日、従業員7000人を削減すると明らかにした。動画配信サービスの成長が鈍化するなかで赤字が続いており、コスト構造の見直しが必要だと判断した。人員削減や作品投資の抑制を通じて55億ドル(約7200億円)の費用を削減する。

同日発表した2022年10〜12月期決算の説明会で明らかにした。ディズニーは22年10月時点で約22万人を雇用しており、7000人は全体の約3%にあたる。前任CEOが新設したコンテンツ流通の専門部隊などを解散するといい、関連部署で働く従業員が主な対象となるもようだ。

広告・マーケティング費の見直しも含め、24年までに作品投資以外で25億ドルを削減する。作品投資についても、競合との差異化が難しい番組を中心に30億ドルを減らす。アイガー氏は「世界中で見てもらえる作品と各地域向けの作品のバランスも見直す」といい、日本発のコンテンツに影響が及ぶ可能性もある。

24年までに動画配信事業を黒字化する目標を維持する半面、会員数については予想を示すのをやめた。19年に「ディズニー+(プラス)」を始めてから数年にわたって「会員数をめぐる競争に陥っていた」といい、会員数至上主義が過剰な広告やマーケティング投資につながったとの反省を述べた。

アイガー氏は20年2月にCEOを退任したが、動画配信事業の赤字や株価の低迷などを背景に22年11月に復帰した。8日の説明会では「新たな変革のときを迎えた」と強調。経済減速や競争激化などで事業環境が厳しくなるなかでも、最優先事業と位置づける動画配信で「成長と収益性を持続させる道を開く」と説明した。

10〜12月は増収増益

10〜12月期決算は売上高が前年同期比8%増の235億1200万ドル、純利益は16%増の12億7900万ドルだった。ホリデーシーズンのテーマパーク事業が好調で利益を押し上げたものの、動画配信事業では赤字が続いた。

動画配信サービス「ディズニー+」の会員数は12月末時点で1億6180万人となり、3カ月前と比べて240万人減った。インドで23年以降のクリケットの主力戦を配信する権利を更新しなかったのが主な理由で、12月に値上げを実施した米国など主要国ではプラスを維持した。

「Hulu」やスポーツ配信の「ESPN+」も含めた部門全体の売上高は前年同期比13%増の53億700万ドルで、営業損益は10億5300万ドルの赤字となった。赤字幅は7〜9月期(約15億ドル)と比べて縮小したものの、マーケティング費用などがかさんだことで前年同期より8割近く膨らんだ。

テーマパーク・物販部門の売上高は21%増の87億3600万ドルだった。米国やフランスのパークで来園者数が増え、新型コロナウイルス対策の休園で停滞した中国事業を補った。米国ではアトラクションに早く乗るための追加チケットの販売などを通じて、1人あたりの消費額も増えた。同部門の営業利益は25%増の30億5300万ドルだった。

ディズニーをめぐっては、物言う株主(アクティビスト)のネルソン・ペルツ氏が率いるファンドが委任状争奪戦を仕掛けている。こうした外部の圧力も、大規模な人員削減を含めたコスト削減策の公表につながったとみられる。

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