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米、指導力再建へ試金石 バイデン氏が初外遊 

バイデン米大統領は「民主主義国を再結集させる」と初の外国訪問に意気込む=AP

【ワシントン=永沢毅】バイデン米大統領は9日、就任後初の外国訪問となる欧州歴訪に出発する。主要7カ国(G7)や北大西洋条約機構(NATO)などの首脳会議で同盟国との関係修復を打ち出し、中国やロシアに対抗する態勢を整える。米国が指導力をどこまで示せるかは米中対立の行方を左右する。

「大統領は半世紀に及ぶ準備を積み重ねてきた」。サキ米大統領報道官は8日の記者会見で、大統領として外交の表舞台に立つバイデン氏をこう称賛した。「準備」の意味合いはバイデン氏が副大統領や上院外交委員長を歴任し、旧ソ連を含めた交渉経験も豊富というだけにとどまらない。

「会談前に分厚い資料を読み込み、細かい部分もそらんじる。前大統領との大きな違いだ」(民主党関係者)。トランプ前大統領は資料に目を通すのを好まず、2国間の会談や国際会議の事前準備が不十分だったことも少なくない。

プーチン氏との電話で米ロ関係の核となる「新戦略兵器削減条約(新START)」の存在を知らず、周辺をあわてさせたこともある。

バイデン氏は11~13日に英国でG7サミット、14日にベルギーでNATO首脳会議にそれぞれ出席する。16日にスイスでロシアのプーチン大統領との初会談に臨む。全体を貫くのは中ロなどの脅威対処に向けて「世界の民主主義国を再結集させる」(バイデン氏)とのメッセージだ。

トランプ氏も初の外国訪問でNATOを選んだが、北大西洋条約5条に基づく欧州防衛に関しては明確な約束をしなかった。むしろ米国の負担軽減を狙った国防費の増加要求を繰り返し、加盟国に不安を広げた。バイデン氏はNATO首脳会議でこうした懸念を完全に払拭し、同盟再構築を印象づけようとしている。

旧ソ連に対抗する軍事同盟だったNATOは2030年に向けた新たな課題として初めて中国を取り上げ、その役割を再定義しようとしている。対中国を意識した結束の確認はG7サミットにも共通する。

もっとも、米国への欧州の懸念はそう簡単には消えない。「世界で最も影響力のある国」を尋ねた米ジャーマン・マーシャル・ファンドの調査で「米国」と回答した割合はドイツとフランスではバイデン政権の発足前後で変わっていない。トランプ前政権と同じ低水準にとどまっている。

「中間層のための外交」を掲げるバイデン政権の通商政策は国内産業や雇用確保を優先した保護主義色が強い点でトランプ前政権と変わらないとの指摘もある。米国はトランプ政権下でEUに課した鉄鋼・アルミニウムへの追加関税の扱いを年末に向けて協議している。

「雇用創出などを含めて私たちの政策は各国からは歓迎されている」。ホワイトハウス高官はこう主張する。バイデン氏は同盟修復の決意を具体的な行動で示せるかが問われる。

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