Amazon、米で基本給上限4000万円に 人材確保へ倍増

【シリコンバレー=白石武志】米アマゾン・ドット・コムが2022年に米国内の基本給の上限を従来の2.2倍の年35万ドル(約4000万円)に引き上げることが8日までに分かった。事務職や技術職が主な対象となる。新型コロナウイルス禍からの経済再開で労働市場の需給が逼迫するなか、採用競争力を高めるとともに他社への人材流出に歯止めをかける。
社内文書を入手した複数の米メディアが報じた。アマゾンは文書のなかで賃上げの狙いについて「優秀な人材をひきつけ維持するために競争力を保つ必要性があり、通常の年よりも大幅に報酬水準を引き上げることにした」と説明した。日本経済新聞の問い合わせに対し、同社の広報担当者は報じられた内容は正確だと述べた。
アマゾンは長年、株式による報酬を用意することで基本給を抑えてきた。米求人検索サイト「インディード」によると同社のソフトウエアエンジニアの基本給の平均値は年13万1000ドル前後と、米メタ(旧フェイスブック)の年14万9000ドル前後を下回る。
物流費の上昇などで収益が圧迫されたことで21年のアマゾン株の上昇率は2.4%にとどまり、多くの機関投資家が運用指標とするS&P500種株価指数の27%を大きく下回った。株式報酬の魅力が薄れるなか、従業員の間では基本給の低さへの不満が高まり、幹部らの離職が増えていると報じられていた。
米国内の採用難は幅広い職種に及ぶ。アマゾンは21年の年末商戦に向けて米国内で梱包や配送業務に携わる社員らに平均18ドルの最低時給と最大3000ドルの入社時一時金を用意した。事業拡大に向けて大量採用を続ける一方で、従業員の定着が課題となっている。
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