米GAP、中華圏事業を中国Eコマース大手に売却

【ニューヨーク=西邨紘子】米衣料品大手のギャップは8日、香港や台湾を含むグレーターチャイナ(中華圏)事業を中国のEコマース(電子商取引)大手、宝尊電商に最大5000万ドル(約73億円)で売却すると発表した。現地での「GAP」ブランド商品の販売は宝尊がライセンス契約を通して続ける。2023年前半の手続き完了を見込む。
宝尊の発表資料によると、同社はギャップ本社などから現地子会社「ギャップ・グレーター・チャイナ」の株式を現金で買い取る。また20年間のライセンス契約で中華圏での「GAP」ブランド商品の製造・広告・販売権を取得する。買収額は4000万ドルを最低ラインとし、価値変動などに応じて5000万ドルを上限に調整に応じる。宝尊は18年以降、中華圏の「GAP」ブランドのEコマースを請け負ってきた。
ギャップは10年に中国市場に参入した。当初、積極的な店舗拡充などで事業を広げたが、近年は現地ブランドとの競争が激化し、販売が伸び悩んでいた。
さらに20年以降は、新型コロナウイルス流行に伴う行動制限で同地域の業績低迷が深刻になった。同じギャップ傘下の低価格帯ブランド「オールド・ネイビー」は、20年3月の時点で中華圏市場から撤退した。
「GAP」ブランド担当のマーク・ブレイトバード最高経営責任者(CEO)は7日付の従業員向け書簡で、今回の事業売却について「20年以降進めてきた戦略見直しの一環」と説明。保有資産を軽減し、フランチャイズ形式に切り替えることで「より費用対効果の高い形で(中華圏)市場での販売を続けられる」と指摘した。
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