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米人手不足の解消に時間 7月426万人、景気の足かせに

(更新)

【ニューヨーク=後藤達也】米国で人手不足が深刻化している。米労働省が8日発表した7月の雇用動態調査で、求人数から採用数を引いた人数は426万人と過去最多を更新した。企業は需要に見合った採用拡大を目指すが、働き手の間では新型コロナウイルスを警戒し、求職に慎重な動きが続いている。人手不足の解消は見通せず、景気回復の足かせとなっている。

7月の求人数は1093万人と過去最大だった6月(1018万人)を上回った。一方、採用数は6月より16万人少ない666万人にとどまった。医療や外食、小売店、製造業など幅広い業種で人手不足が強まっている。

米連邦準備理事会(FRB)が8日発表した地区連銀経済報告(ベージュブック)でも人手不足の報告が相次いだ。ボストン連銀は「企業は求職者に求める資格や経験の基準を引き下げている」と指摘する。個人経営の小売店や外食では「オーナーがレジ打ちや調理、皿洗いをしている」(フィラデルフィア連銀)との報告もあった。

FRBは人手不足の原因を複数指摘している。学校の休校が続いたため、育児で自宅を離れづらい人が多かった。コロナ対策で失業保険の拡充が続いたほか、コロナ下で採用活動が制約を受けた点も挙げる。7月以降はコロナのインド型(デルタ型)の感染が急拡大したことも求職を遅らせた可能性がある。

米失業保険の拡充は5日までにすべての州で打ち切られた。学校の再開も広がっており、パウエルFRB議長は「求職を妨げていた要因は少しずつ和らいでいきそうだ」と見込む。

ただ、コロナの流行を機に仕事や生活への国民の考え方は変わっており、雇用が回復するかは不透明だ。失業保険の拡充は7月までに約半分の州が打ち切ったが、拡充を続けた州と比べ「期待されたほど労働需給の逼迫は和らがなかった」(シティグループのアンドリュー・ホレンホースト氏)。

米CNBCが主要企業の最高財務責任者(CFO)に実施した8月の調査では「求人に見合った人手を確保するのがさらに難しくなっている」との回答は95%に達した。人手不足に加え、サプライチェーン(供給網)の混乱で「物流の遅延は過去最悪となっている」(調査会社IHSマークイットのクリス・ウィリアムソン氏)

一方、個人消費は強い状態が続いている。レストラン予約のオープンテーブルによると、9月1~7日の米国の予約件数は19年の同時期と比べ1%多い。経済対策で家計の所得が増えたほか、株価や不動産価格の上昇で富裕層の購買力も高まった。企業は強い需要に応じたモノやサービスの提供が難しくなっている。

デルタ型の感染収束の見通しもたたず、求人と求職のミスマッチが長引くおそれがある。人件費や材料費が上昇し、品薄感も強まっており、IHSマークイットのウィリアムソン氏は「物価は今後も大幅に上昇するとみられる」と指摘する。ゴールドマン・サックスなど7~9月の米経済成長率見通しを引き下げる事例も増えている。

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