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米求人過去最高930万件 4月、需給にミスマッチ

(更新)
求人広告を掲げるレストラン(米ワシントン)

【ワシントン=長沼亜紀】米労働省が8日発表した4月の雇用動態調査(JOLTS)によると、非農業部門の求人件数(季節調整済み、速報値)は、前月から99万8000件増の928万6000件となり、前月に続き統計開始の2000年12月以来最高を更新した。新型コロナウイルスの感染抑制と経済再開を受けて、求人は急増しているが、人手不足を背景に実際に採用できている件数は横ばいで、労働需給のミスマッチが鮮明となった。

求人率は6.0%で0.6ポイント高まり、こちらも過去最高となった。求人率は、就労者と求人の合計に占める求人の割合を示したもので、求人率が高いほど企業が埋めようとしている空席の職が多く労働需要が強いことを示す。コロナ感染が本格化する前の2020年2月の求人率は4.4%で、経済封鎖で労働需要が急減した20年4月には3.4%まで下がっていた。

米国ではワクチン接種が広がり、人々が外出する機会が増えている。その結果、宿泊・飲食サービス業の求人が34万9000件増(求人率は9.9%)、芸術・娯楽・レクリエーションが4万2000件増(同11.6%)と、積極的に人手を増やそうとしている状況が鮮明になっている。

一方、全体の採用数は607万5000件で、前月から6万9000件増にとどまった。就労者数に占める採用数の割合を示した「採用率」は4.2%で前月と変わらなかった。宿泊・飲食サービスは23万2000人採用を増やしたが、求人増加分をカバーできていない。製造業や建設業は求人件数は増えているが、逆に採用数は減っており、熟練労働者不足が採用増の足かせになっているとみられる。

4月は就労者数の伸びが28万人と市場予測を大きく下回り、労働市場の回復に懸念が広がった。JOLTSのデータは、労働需要は力強く回復しているものの、採用につながっていない需給のミスマッチが起きていることを明らかにした。

ミスマッチの要因には、接客など低賃金で感染リスクが高い職の求人が多く、学校再開の遅れで子育て中の女性が復職できずにいる点や、失業保険の特例給付など手厚い補償が就労意欲をそいでいる可能性などが指摘されている。また、パンデミックで早期退職を決めた労働者もおり、熟練労働者の不足に追い打ちをかけている可能性もある。

米連邦準備理事会(FRB)が2日発表した地区連銀経済報告(ベージュブック)は、人手不足と採用難が深刻で、特に低賃金の未熟練労働者や、トラック運転手、技能を持った労働者の不足が著しいと指摘した。

クリーブランド連銀は「小売店やレストランが人手不足で店舗を閉じたり、営業時間を短縮したりしている」と報告。ダラス連銀地区の製造業者は「未熟練の職に時給14ドルを出しても求人が埋まらない」と伝えた。

労働市場の逼迫で、契約ボーナスを提供したり、初任給の賃上げをしたりする企業も増えており、よりよい賃金や待遇を求めて転職する人も増え始めている。JOLTSによると、4月の自発的離職者数は395万2000人で38万4000人増え、就労者に占める自発的離職者の割合を示す自発的離職率は2.7%と過去最高となった。業種別では、宿泊・飲食サービスや小売業の離職率の高まりが目立った。

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