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米200兆円対策成立へ バイデン体制、財政出動まず成果

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【ワシントン=河浪武史】米連邦議会下院は10日、バイデン大統領が提案した1.9兆ドル(約200兆円)の新型コロナウイルス対策を民主党主導で可決した。上院は通過済みで、バイデン氏が12日に署名して成立する。コロナ危機による財政出動は今回で第5弾で、総額6兆ドル弱に膨らんだ。1月に発足したバイデン体制は雇用再建を重視しており、巨額の経済対策でまず成果を急ぐ。

下院は民主議員220人が賛成票を投じたが、共和党は211議員が反対に回った。バイデン氏は超党派の合意を当初は目指したが、党派の分断は埋まらず、最終的には早期の追加財政出動を優先した。巨額の経済対策は日本経済を含む世界経済にも大きな影響を与えそうだ。

「米国救済計画」と名付けられた新対策の柱は、1人最大1400ドル(約15万円)の現金給付だ。年収8万ドル以上の高所得層は除外するものの、支給総額は4000億ドル規模と大きい。2020年3月に決まった第1弾、12月の第2弾と合わせると支給額は1人最大3200ドルにのぼる。3回目の支給は3月中に開始する。

3月14日で失効する予定だった失業給付の特例加算も9月まで延長する。失業者は州・地方政府から平均で週370ドルの失業給付を受け取っているが、連邦政府が週300ドルを上乗せする仕組みだ。支給総額は2500億ドル規模とみられる。1000億ドル規模の子育て世帯への税優遇なども合わせると、家計支援は1兆ドル規模に達する見込みだ。

ワクチンの普及に160億ドルを充てるほか、財政難で治安や教育が揺らぐ州・地方政府にも3500億ドルを支援する。中小企業対策として500億ドルを用意し、航空会社や鉄道会社にも資金を投じる。

対策の総額は1.9兆ドルとなり、20年3~12月に発動した1~4弾と合わせると、対策規模は5.8兆ドル程度になる計算だ。名目GDP比で約28%となり、臨時の財政出動だけで通常の年間歳出(19会計年度で4.4兆ドル)を大きく上回った。リーマン・ショック時の経済対策は08~09年で1.5兆ドル程度で、過去に例のない巨額対策となる。

トランプ前政権がコロナ危機で国家非常事態宣言を発令したのは20年3月13日だ。コロナ危機が深刻化して1年がたつが、失業者はなお1000万人と雇用の回復には時間がかかる。財政出動と金融緩和で資産価格などには過熱感がにじむが、政府支援がなければ500万人が住居の強制立ち退きを迫られるとの試算もあり、米経済は自律回復には至っていない。

もっとも、21会計年度(20年10月~21年9月)の連邦政府赤字は29兆ドルに達する見込みで、GDP比でみても戦時を上回って過去最悪になる。懸念は低位で安定していた長期金利の上昇で、巨額の追加対策は景気期待と財政不安という二重の金利上昇圧力となる。

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