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トランプ氏、政権瓦解へ危機感 退任受け入れ

(更新)
トランプ大統領が支持者をあおったのが米連邦議会への突入事件の一因となった=AP

【ワシントン=永沢毅】トランプ米大統領が7日、バイデン次期大統領の勝利をようやく公式に認め、円滑な政権移行に協力すると明言した。米連邦議会議事堂への乱入事件を受けた共和党内での責任論の拡大を警戒。政権高官の辞任も相次ぎ、退任後もにらんだ政治生命の維持へ対応を余儀なくされた。

「新政権が1月20日に発足する。円滑で秩序ある切れ目のない政権移行を確実にするよう集中する」。トランプ氏は7日夜、ツイッターに投稿したビデオ動画で表明した。11月の大統領選後、約2カ月にわたって敗北を認めてこなかったトランプ氏だが、「選挙結果を覆そう」との試みに終止符を打つ考えをみせた。

すでにホワイトハウスの声明では同様のメッセージを打ち出していたが、今回は初めてトランプ氏が自らの肉声で円滑な移行への協力を約束した。議会に乱入した自身の支持者にも「違法行為をした人物は代償を支払うことになる」と明確に非難を浴びせ、それまで曖昧だった姿勢を一変させた。

トランプ氏を事実上の「敗北宣言」(AP通信)に突き動かしたのは政権瓦解への危機感だ。「トランプ氏が合衆国への暴動を扇動した」。民主党のペロシ下院議長はこう断じ、合衆国憲法修正25条を発動してトランプ氏をただちに免職するようペンス副大統領に要求した。同氏が応じなければ弾劾に動く方針だ。

修正25条には副大統領と行政機関トップの過半数の判断で大統領の職を解ける規定がある。複数の閣僚も発動の可能性を探っているとされるが、米CNNによると、ペンス氏が同調する可能性はほとんどない。同氏が他の閣僚と発動を巡って議論をした形跡もない。

共和党でも賛同を明言したのは下院議員1人にとどまる。ただ、トランプ氏に近い共和党のグラム上院議員は記者会見で発動は「現時点では不適切だ」としながらも「何かことが起きれば、あらゆる選択肢が排除されない」と語った。

トランプ氏は共和党内で25条への賛同が広がる事態を懸念したとみられる。政権移行への協力を明確にすることでさらに暴力をあおったり混乱を引き起こしたりする姿勢を封印し、そうならないよう布石を打った。共和党も強力な支持層を抱えるトランプ氏との全面対決は避けたい思惑がある。

連邦議会上院の南部ジョージア州の決選投票での2敗も重なり、これ以上の求心力の低下はトランプ氏が念頭に置く2024年大統領選への再出馬の道も閉ざしかねない。「私たちの素晴らしい旅路はまだ始まったばかりだと考えてほしい」。トランプ氏はビデオ動画でこうも語っている。

トランプ氏にとっては、政権幹部の辞任に歯止めがかからないのも懸念材料だ。7日にはチャオ運輸長官、デボス教育長官が閣僚としては初めて辞任を表明した。議会乱入事件を受けた幹部の辞任は2ケタを超える勢いだ。

修正25条の発動がない場合、焦点は民主党が検討している弾劾に移ることになりそうだ。下院の主導権を握る民主党の判断で実行できる。実現すれば「ウクライナ疑惑」を理由とした2019年12月に続いて2回目の弾劾訴追となる。トランプ氏は史上初めて2回も弾劾訴追された不名誉を背負う事態は避けたいところだ。

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