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米、台湾軍の訓練否定せず 対中国へ関与一段と

【ワシントン=中村亮】米国が台湾への関与を一段と鮮明にしている。7日に米軍が台湾で少なくとも1年間にわたり台湾軍を訓練していると報じられ、米国防総省は報道を否定しなかった。米国は台湾に対する中国の武力行使に懸念を強め、台湾の自衛力強化に向けた支援を急ぐ。

米紙ウォール・ストリート・ジャーナルによると、米国の海兵隊や特殊作戦部隊は台湾の陸上と海上部隊の訓練を行っている。一時的な派遣にとどめるローテーション方式で米兵が台湾で活動しているという。

国防総省の報道担当者は7日の声明で「我々の台湾支援や台湾との防衛関係は現状の中国の脅威に合わせたものだ」と説明し、訓練を否定しなかった。

元米軍高官は「米軍は長年にわたって台湾軍の訓練を行ってきたが、これまでは公にしてこなかった」と明かす。一部メディアは2020年11月、米海兵隊が台湾南部で台湾軍の訓練を近く行うと報じたが、国防総省は「不正確だ」としていた。

国防総省が訓練を否定しない方針に転じたのは、米国の台湾防衛への関与を示して中国に挑発行動を停止するよう訴える狙いがある。台湾の国防部(国防省)は4日、中国の戦闘機など56機が台湾の防空識別圏(ADIZ)に侵入したと明らかにした。1日あたりで過去最多だった。

台湾の蘇貞昌・行政院長(首相)は8日、米報道をめぐり記者団に対して「台湾は常に、地域の平和を守るために(防衛面で)最善を尽くしており、同じ価値観を共有してくれる国々に感謝している。力を合わせ一緒に努力していく」と述べた。

1979年の米中国交樹立などに伴い、米軍は台湾から撤退した。一方で米国が79年に定めた台湾関係法には台湾の自衛力向上を支援すると明記。軍事訓練などを念頭に「防衛関連サービス」を提供するとした。最近の中国の軍拡や相次ぐ挑発行動に対応するため、米国は軍事訓練の必要性が高まっているとみている可能性がある。

新アメリカ安全保障センターのヤコブ・ストークス研究員は訓練について「中国の侵略部隊の撃退に向けた軍事作戦能力の向上に重点を置く」とみる。米国はこれまで公式には武器輸出を中心に台湾を支援してきたが、今後は台湾海峡での有事を想定した実践的な軍事作戦の助言などを行うことも考えられる。

米軍が台湾で部隊の訓練を拡大すれば中国が反発を強めるのは確実だ。訓練を任務としても、台湾で活動する米兵が増えるほど台湾海峡で戦闘が起きた際の即応部隊として転用できるとみられるからだ。

元米軍高官は米国での台湾軍の訓練を含めて充実させるべきだとしつつ「粛々と行って公表すべきではない」と指摘する。中国を刺激して付け入る隙を与えて台湾への威圧行動が増えれば中台の緊張が一段と高まる。

バイデン米大統領と中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席は年内にオンライン形式で協議するが、台湾をめぐっては平行線をたどる公算が大きい。6日の米中高官協議でも台湾をめぐり米国が中国に懸念を伝えたが、中国は「内政に干渉することをやめるべきだ」とした。

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