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米ワクチン接種優先順、州で違い 医療・介護で2400万人

新型コロナワクチンの接種を受ける医療従事者(14日、ニューヨーク)=ロイター

【ワシントン=鳳山太成】米国で新型コロナウイルスワクチンの接種が始まった。まず医療・介護施設の計2400万人を優先するが、具体的な接種順位は各州で異なり、未解決の課題も多い。米国内のコロナ死者が30万人を超えるなか、安全性とスピードの両立が求められる難事業となる。

14日、米首都ワシントンのジョージ・ワシントン大学病院。ファイザー製ワクチンの接種開始をうたう行事で、医療従事者5人が注射を受けた。立ち会ったアザー厚生長官は「1年以内に安全で有効なワクチンを実現した」と誇示した。

米政府の当面の目標は年内に2千万人、2021年1月に計5千万人への接種だ。国防総省は「安全保障上の能力を保つため」という理由で、国内外16カ所の米軍施設で働く医療関係者や、特定幹部を対象に4万4千人分を供給する。ホワイトハウス職員も先行させる計画も取り沙汰されたが、トランプ大統領が否定した。

これから各自治体や施設は接種対象者を具体的に選ぶ課題に向き合う。米疾病対策センター(CDC)は12月上旬に感染リスクの高い医療従事者と介護施設の入居者を優先する指針を決めたが法的拘束力はない。

各州・地域は最適解を探る。米カイザー・ファミリー財団の集計によると、首都ワシントンと西部ユタ州は第1弾の接種対象に介護施設の入居者を入れなかった。西部ネバダ州や同ワイオミング州は警察官を含めた。

ひと言で医療従事者といっても幅広い。南部アラバマ州はコロナ患者と触れあって感染するリスクに応じて3グループに分けた。CDCは医師や看護師がワクチンの副作用で仕事を休む可能性を考慮し、同じ医療現場で働く人は接種時期をずらすよう促した。

米ジョンズ・ホプキンス大学の14日の集計によると、米国のコロナ感染者は1600万人、死者数は30万人をそれぞれ超え、世界で最も多い。被害を一刻も早く抑えるためには「感染リスクの高い人」より「重症化リスクの高い人」を優先すべきだとの意見もある。

CDCが作成中の指針案は(1)食料品や教師など不可欠な労働者(8700万人)(2)重い持病がある人(1億人)と65歳以上の高齢者(5300万人)――の順に対象を広げる。それでも東部メリーランド州や南部フロリダ州は高齢者と持病がある人を優先する。ノースカロライナ州は持病がある人が最初に打つ。

ワクチン接種の優先順位づけは、打撃を受けた経済の回復とも絡む。各州知事のもとには業界団体から「自分たちにワクチンを回してほしい」との要望が相次いでいる。西部コロラド州はかき入れ時を迎えたスキー場、南部アーカンソー州は食肉工場と各産業で働く従業員を「不可欠な労働者」として優先的に接種する計画だ。

最初は供給量が限られる以上、ワクチンを希望しても受けられない人が出てくるのは避けられない。一方で副作用リスクを敬遠して拒否する人もいる。CDCは「科学」「実行性」「倫理」の三大原則をもとに第2弾の対象者を決める諮問委員会を近く開く予定だ。利益とリスクをてんびんにかけながら公平に分配するのは簡単ではない。

フォード大統領が1976年に新型インフルエンザを予防するワクチンの大規模接種事業を展開したときは、重い副作用が相次いで中止となった。教訓を生かせるかどうかはバイデン次期大統領の手腕にかかっている。

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