メタ取締役、ティール氏が辞任 「トランプ派」支援か

【シリコンバレー=奥平和行】米メタ(旧フェイスブック)は7日、米ペイパル・ホールディングスの共同創業者で起業家や投資家として著名なピーター・ティール氏が取締役を辞任すると発表した。同氏はトランプ前米大統領の支持者として知られ、今秋の米中間選挙で前大統領を支援する候補者の応援に力を入れるとの見方が出ている。
ティール氏は旧フェイスブックの初期の投資家の一人として知られ、2005年から取締役を務めていた。5月にも開く定時株主総会で退任する。
メタのマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)は7日の声明で長年にわたる取締役としての貢献に謝意を示すとともに、「いつかティール氏がほかの関心事に自分の時間を費やす日がくることは理解していた」と説明した。
米ニューヨーク・タイムズ(電子版)は7日、関係者の話として「ティール氏は11月の中間選挙で影響を与えることに注力する意向だ」と伝えた。また、トランプ前大統領の政策を支持する候補者を応援する考えだと報じている。
メタなどが本社を置く米シリコンバレーはリベラルな米民主党の支持者が多いが、ティール氏は米共和党を支援する考えを示してきた。メタの従業員などから同氏の姿勢に対して不満の声があがることもあったが、ザッカーバーグ氏は取締役会の多様性を保つなどの理由からティール氏を擁護してきた経緯がある。
メタが運営するフェイスブックなどの交流サイト(SNS)は利用者の投稿の管理をめぐり、リベラル派、保守派のそれぞれから批判が強まっている。リベラル派はヘイトスピーチなどの制限が不十分と主張する一方、保守派は自らの投稿が不当に抑圧されているとの不満を高めている。
旧フェイスブックは表現の自由を尊重する立場から削除など積極的な投稿への介入を避けてきたが、20年の米大統領選や新型コロナウイルスの流行などを受けて制限を強める方針に転換した。21年1月には米連邦議会議事堂の占拠事件を受けてトランプ氏による新規投稿を禁じた。ティール氏の辞任により、さらに保守派からの批判が強まる可能性がある。