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Apple、個人データ取引に歯止め 次期OSでアプリを監視

広告前提の「無料」に影響も

7日、次期OSで個人データ保護機能を強化すると発表した米アップルのクックCEO=ロイター

米アップルは7日、スマートフォン「iPhone」などの次期OS(基本ソフト)で、ユーザーが各種アプリに提供する個人データを制限できるようにすると発表した。ネット広告業界における個人データの過度な利用に歯止めをかける。米グーグルもデータの収集について監視機能を強化しており、年25兆円規模とされるデータ取引の関連産業に変容を迫る。

「広告テック企業やデータブローカーなどに許可なく追跡される恐れがある」。アップルが7日に開いた年次開発者会議「WWDC」の基調講演で、同社のクレイグ・フェデリギ上級副社長はネット広告産業への不信感を隠さなかった。

2021年秋に配信を始めるiPhone向け基本ソフト「iOS15」で、設定画面の中にアプリによる個人データの収集状況を確認できる「アップ・プライバシー・リポート」と呼ぶ項目の追加を明らかにした。

各アプリがユーザーの位置情報や写真、カメラ、マイク、連絡帳などの情報にいつアクセスしたのかを、1週間前まで遡って確認できる。

ユーザーがアプリの挙動に違和感を感じれば、OSの設定画面から各アプリを選んで個人データの提供を止められるようにする。アップルが自社開発しているブラウザー「サファリ」などのアプリについては、ネットワーク上の機器を識別するために割り当てられた「IPアドレス」を隠す設定もできるようにする。

グーグルも5月に開いた開発者会議「グーグルI/O」で、今秋に一般提供を始めるモバイル端末向けOS「アンドロイド12」にアプリが収集する個人データの種類などを監視できる機能を導入する方針だ。

アップルは、自らもアプリ配信サービスなどに広告を配信。同社の広告プラットフォームでは個人情報の他社との共有などはしないとしているが、関心に沿った広告を表示するため検索やダウンロードの個人履歴などを使うことがあるという。他社のアクセスを防ぐことは個人データの囲い込みにつながりかねず、アップルもデータ活用で規律が問われる。

米国では18年に米フェイスブックで8700万人分の個人情報流出問題が明らかになり、消費者のプライバシー保護意識が高まった。保護の重要性は高まる一方だが、アプリを介して集められた個人データは、興味や属性にあったターゲティング広告の配信などのビジネスを支える。

アップルはデータ取引がネット広告などを通じて年間2270億ドル(約25兆円)の価値を生んでいると指摘する。

個人データを取引するデータブローカーは世界に数百社あるとされ、作成した消費者のプロフィルを基に企業向けデジタルマーケティングを指南する企業もある。プライバシー対策強化で、こうした企業や産業も影響を受ける可能性がある。

アップルの狙い通りに消費者がデータの提供を止めれば、やりとりされる個人データ総量が減り、広告の精度が下がる事態も想定される。広告収入を前提にしていた無料アプリ業界への影響は必至だ。消費者が無料で使えたアプリが有料になったり、アプリそのものが使えなくなったりする可能性もある。

(シリコンバレー=白石武志、東京=デジタルマーケティングエディター 大林広樹)

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