米、対フランス関税の発動延期 デジタル税の対抗措置

【ワシントン=鳳山太成】米通商代表部(USTR)は7日、フランスが導入した「デジタルサービス税」への対抗措置として計画した制裁関税を巡り、発動を無期限で延期すると発表した。IT企業への課税を巡る貿易摩擦はひとまず回避される。
米政府は通商法301条に基づき、IT企業の売上高に3%課税するフランスのデジタル税が米国企業を不当に差別していると認定した。化粧品やハンドバッグなど13億ドル(約1400億円)分のフランス製品に25%の関税を6日から上乗せする予定だった。
USTRは延期の理由について「同様の調査が並行して続いており、対応をそろえる」ためだと説明した。英国や欧州連合(EU)など10カ国・地域も調査し、このうちインドなど3カ国の調査結果を6日に発表した。各国のデジタル税を不当だと認定しつつも関税の発動は見送っていた。
米仏は2020年初め、フランスがデジタル税を20年中は凍結する代わりに米国が関税を棚上げすることで合意した。経済協力開発機構(OECD)を中心に約140カ国・地域がデジタル課税を議論してきたが20年中の合意が難しくなり、フランスは12月から独自課税の徴収を再開していた。
各国は21年半ばの国際合意を目指している。バイデン次期政権が国際交渉を担うことになるが、妥協点を見いだせるかは依然不透明だ。