ブラジル、中国ワクチンの治験78%有効 緊急使用申請へ

【ニューヨーク=宮本英威】ブラジルのサンパウロ州は7日、中国の製薬会社、科興控股生物技術(シノバック・バイオテック)の新型コロナウイルス向けワクチンの臨床試験(治験)で、有効性が78%になったとの結果を公表した。近く、薬事当局である国家衛生監督庁(ANVISA)に緊急使用の許可を申請する。
シノバックのワクチン「コロナバック」を巡る中国外での治験では、トルコでは有効性が91.25%、インドネシアでは97%と報じられている。
ブラジルでは、サンパウロ州にあるブタンタン研究所で2020年7月から治験を実施、1万2400人以上のボランティアが参加した。
サンパウロ州のドリア知事は7日、「ブラジルの国と国民、その健康や人生にとって非常に重要な日だ」と述べた。同州では今月25日にもワクチン接種を開始できる可能性がある。
当初は12月上旬にも治験結果が公表される見通しだったが、公表が遅れていた。ブラジルの新型コロナの累計感染者数は787万人超と、世界で3番目に多い。
新興国は欧米メーカーのワクチン確保に苦戦している。このため中国やロシア製のワクチン確保に動く例が目立っている。ロイター通信によると、チリ、シンガポール、ウクライナ、タイなどもシノバックからのワクチン供給で合意している。