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米SEC「ビットコインは投機的」 ETF上場に慎重姿勢

SECのゲーリー・ゲンスラー委員長=ロイター

【ニューヨーク=吉田圭織】米証券取引委員会(SEC)が暗号資産(仮想通貨)市場への監視を強めている。11日の声明でビットコインへの投資は「非常に投機的」と指摘し、注意を呼びかけた。ビットコイン価格に連動した上場投資信託(ETF)の上場審査も慎重に進める構えで、承認時期はまだ見通せない。

SECの投資管理部門は11日の声明で、ビットコイン先物に投資する投資信託について注意喚起を行った。ビットコインと同先物市場は十分な規制がなく、詐欺や価格操作が起きかねないと指摘。投資家に対して、投信の購入前にリスクを見極めるよう呼びかけた。

ビットコインに投資する投信は増えている。米グレースケール・インベストメンツのファンドは運用総額約390億ドル(約4兆円)に達した。米ブラックロックは一部の投信でビットコイン先物への投資を可能にした。SECは先物市場の流動性、投信会社による資産価格の評価方法、解約時の備えなどを監視しているという。

11日の声明に先立って、ゲーリー・ゲンスラーSEC委員長は仮想通貨市場の規制強化に意欲を示していた。6日の米下院公聴会で「現時点で詐欺や価格操作から投資家を守る規制がない」と述べたうえで、仮想通貨交換所の規制強化に向けて「議会と協力したい」と表明した。

SECの規制強化方針はETF市場にも影響を及ぼす。2020年12月以降、米フィデリティ・インベストメンツや米ウィズダムツリー・インベストメンツなど少なくとも9社の運用会社がビットコイン価格に連動するETFの上場申請をSECに出していたが、SECの慎重姿勢を受けて、審査の長期化が予想されている。

仮想通貨業界はかねてETF上場を望んでいた。ETFを通じた投資は、ビットコイン現物の購入に比べて資産管理の手間が小さい。さらに通常の投資信託よりも取引コストは低い。機関投資家や個人が仮想通貨に投資しやすくなるため、マネー流入の起爆剤になると期待されている。

SECの慎重姿勢は変わらない。17年に米運用会社による上場申請ブームが起きたが、詐欺や価格操作のリスクを指摘し、上場を一切認めなかった。今回も米運用会社ヴァンエックの申請したビットコインETFについて、上場可否の最終判断を6月に延期すると発表した。

もっとも仮想通貨の投資インフラは17年当時に比べて改善している。米交換所大手コインベース・グローバルが4月、ナスダックに上場を果たし、運営の透明性は高まった。米ゴールドマン・サックスは5月、ビットコイン価格に連動する金融派生商品の取引仲介を始めた。ウォール街の参入は流動性の向上につながる。

カナダで2月、ビットコインETF上場が認められたほか、ブラジルも上場を認可した。仮想通貨指数の算出を手がけるCFベンチマークスのスイ・チャン最高経営責任者は「当局はビットコイン市場を支えるインフラが成熟したと判断したからこそ、上場が認められた」と強調する。

SECは11日の声明で「ETFや他の市場参加者からの情報提供を歓迎する」と述べた。法令順守や投資家保護の取り組みについて情報を求めるという。仮想通貨市場への監視を強める一方、業界との対話姿勢を示した形だ。SECの判断は世界の規制当局に影響を及ぼすだけに、ETF承認の行方に注目が集まる。

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