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米国防長官、フィリピン・ベトナム訪問へ 対中協調探る

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オースティン米国防長官はバイデン政権の主要閣僚として初めて東南アジアを訪れる=AP

【ワシントン=中村亮】米国防総省は19日、オースティン国防長官がフィリピンとベトナム、シンガポールを訪れると発表した。23日に米国を出発する。バイデン政権の主要閣僚として初めての東南アジア訪問となる。経済・安全保障をめぐり東南アジアで影響力を強める中国に対抗するためバイデン政権が本腰を入れ始めた。

国防総省のカービー報道官は声明で歴訪を通じ「地域に対する米国の永続的な責務やルールに基づく国際秩序などを訴える」と強調した。シンガポールでは英国の国際戦略研究所(IISS)が主催するイベントに参加する。オースティン氏は新型コロナウイルスが東南アジアで再拡大する中でも米国の関与を鮮明にするため対面形式の訪問が重要とみている。

オースティン氏はこれまで欧州を2回訪問し、インド太平洋では日本や韓国、インドを回ったが、東南アジアは訪れていない。6月上旬にシンガポールで予定したアジア安全保障会議(シャングリラ会合)への出席を計画したが、新型コロナの影響で会合が中止になり訪問は実現しなかった。

歴訪は東南アジアで巻き返しを目指すバイデン政権の戦略の一環だ。ブリンケン国務長官は14日、東南アジア諸国連合(ASEAN)とバイデン政権下で初めての外相会議をオンラインで開いた。米国家安全保障会議(NSC)のカート・キャンベル・インド太平洋調整官は7月上旬、米シンクタンクのイベントで「効果的なアジア戦略を実行するために東南アジアでやるべきことがたくさんある」と強調した。

バイデン政権は東南アジア政策が後手に回り、その隙を突くかのように中国が威嚇行動を強めてきた。南シナ海ではフィリピンが排他的経済水域(EEZ)と主張する海域で中国船が停泊を続ける。既成事実を積み重ねて中国の領有権を定着させる狙いがあるとみられる。マレーシア空軍は5月末、中国軍用機が領空を侵犯したとして戦闘機をスクランブル発進させた。ベトナムも南シナ海での石油や天然ガスの権益をめぐり中国と緊張が続く。

米国の東南アジア政策の立て直しのカギはフィリピンとの関係修復だ。フィリピン政府は6月中旬、米兵のフィリピン国内での法的地位を定めた「訪問軍地位協定(VFA)」の存続について最終決定を見送った。ドゥテルテ大統領が存続に慎重な姿勢を示しているためだ。見送りは3回目。破棄すれば米軍がフィリピンで活動できなくなる恐れがあり、バイデン政権は早期に存続を確定したい考えだ。

米国務省は6月下旬、フィリピンにF16戦闘機など26億㌦(約2900億円)相当の武器売却を承認し、米議会に通知した。米国に武器売却を求めてきたドゥテルテ政権に配慮したもので、VFA存続に向けて秋波を送る狙いだとの見方が目立つ。米軍は南シナ海での有事に備え、フィリピンの軍事基地へのアクセスを増やしたい考えだ。フィリピンに展開する米軍はフィリピン国内のテロ対策を主要任務としており、中国への抑止力は現時点で弱い。

ベトナムも中国の海洋進出に警戒を強めており米国と協力の余地が広がっている。オバマ政権は2016年に武器禁輸を全面解除した。米議会調査局によると、米国は無人機や巡視船の提供を決め、18年には1975年のベトナム戦争終結後に初めて米国の原子力空母がベトナムに寄港した。シンガポールには米海軍が拠点を置き、同国に配備する沿岸戦闘艦や哨戒機は南シナ海でパトロールを実施している。

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