Google、スピーカー特許紛争で敗北 機能を一部削除

【シリコンバレー=白石武志】米国際貿易委員会(ITC)は6日、スピーカー大手の米ソノスが特許侵害で米グーグルを訴えていた問題で、グーグルによる特許侵害を認める判断を示した。関連する特許を使った製品の米国への輸入を停止するよう命じており、グーグルはスマートスピーカー「ネスト」について機能の一部を削除するなどの対応を迫られている。
両社はスマートスピーカー分野で提携関係にあるが、ソノスはグーグルが複数のスピーカーの音量を同期させる技術などを自社製品に無断で流用し、特許を侵害したとして2020年にITCに調査を申し立てていた。
ITCは6日付の最終決定通知のなかでソノス側が主張していた5件の特許侵害を認めた。米メディアによると関連する特許を使ったグーグル製品の米国への輸入停止命令は60日以内に発効する見通し。ネストだけでなくスマートフォン「ピクセル」や動画配信端末「クロームキャスト」など幅広い製品が対象となる可能性がある。
ITCはグーグルが製品の機能を変更することで侵害のあった特許の利用を回避することは認めた。決定通知を受けてグーグルは6日、ネストの利用者らに一部の設定方法に変更を加えると周知を始めた。複数台を管理するグループ機能を使う場合、今後は1台ごとに音量調整が必要になるほか、スマートフォンの物理ボタン操作による音量変更ができなくなる。
グーグルの広報担当者であるホセ・カスタネダ氏は日本経済新聞の取材に対しITCの命令について「当社製品の輸入・販売に影響が出ることはないと考えている」と説明している。ただ、21年に初の常設店舗を米ニューヨークに開くなどハードウエア事業に力を入れるグーグルにとって、製品の機能低下につながる取り組みがイメージ悪化を招くのは避けられない。
ITCによる調査は米議会や規制当局が米巨大IT(情報技術)への監視を強めるなかで進められた。ソノス幹部は米議会の公聴会に参加してスマートスピーカー市場で競合するグーグルや米アマゾン・ドット・コムの反競争的行為を指摘するなど、巨大IT批判の先頭に立つ。今回のITCの判断は米国の競争政策にも影響する可能性がある。
ソノスのエディー・ラザロ最高法務責任者はITCの判断について「特許訴訟では極めてまれな全面的な勝利だ」とコメントした。グーグルのカスタネダ氏は「ソノスの根拠のない主張に対して引き続き防衛策をとる」と対決姿勢を示した。両社の争いは米カリフォルニア州の連邦地裁などでも続いている。