米、ベネズエラと原油輸入再開協議 ロシアの代替めざす

【ワシントン=坂口幸裕】バイデン米政権が南米ベネズエラへの経済制裁の一環で停止している同国産原油の輸入再開を協議したことがわかった。米欧が検討しているロシア産原油の禁輸に備えたベネズエラへの制裁緩和で代替する調達先を確保し、原油価格の高騰を和らげる狙いだ。
ロイター通信などによると、米政府高官が5日にベネズエラの首都カラカスを訪問し、同国のマドゥロ大統領、ロドリゲス副大統領と会談した。米ホワイトハウスのサキ大統領報道官は7日の記者会見で「政府高官がベネズエラを訪れた目的はエネルギー安全保障を含むさまざまな問題を議論することだ」と述べた。
会合では米国側は公正な大統領選の実施や石油産業の改革に加え、ウクライナに侵攻したロシアを非難するよう促した。ベネズエラ側は原油禁輸の全面解除やマドゥロ氏への制裁撤回などを求めた。
米国は2019年に当時のトランプ政権が反米左派のマドゥロ政権に経済制裁を発動し、外貨獲得手段である原油の輸入を制限した経緯がある。5日の会談で合意に向けた進展はなかったものの、協議を継続する方針では一致。次回の日程は決まっていない。
ベネズエラはロシアを擁護する立場をとる。ロシアのプーチン大統領とマドゥロ氏は1日、電話で協議した。インタファクス通信が伝えた。プーチン氏はウクライナ情勢について説明し、マドゥロ氏はロシアへの支持を表明。両国首脳は戦略的な協力の強化について話し合った。
ブリンケン米国務長官は6日の米CNNのインタビューで欧州の同盟国・有志国とロシア産原油の輸入禁止を検討していると表明したのを受け、日本時間の7日に原油の国際価格は約13年8カ月ぶりの高値を付けた。米国でもガソリン価格のさらなる高騰などへの懸念が強まっており、ロシア産原油の禁輸を想定した調達先の確保を急ぐ。

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