Microsoft、任天堂に人気ソフト10年供給 買収成立なら

【フェニックス=佐藤浩実】米マイクロソフトは6日、米アクティビジョン・ブリザードの買収が成立した場合、人気ソフト「コール・オブ・デューティ」を10年にわたって任天堂のゲーム機に供給すると明らかにした。パソコン向けのゲームストア「Steam(スチーム)」にも配信を続ける。買収に対する競争法当局の警戒が強まるなか、多くのゲーム会社と連携する姿勢を示す狙いがある。
マイクロソフトのゲーム部門を率いるフィル・スペンサー氏がツイッターで、任天堂への長期供給で合意したことを表明した。任天堂も内容を認めている。スペンサー氏は「より多くのゲームを、より多くの人々に届けられるようにする」と説明した。
マイクロソフトは「Xbox」のブランドでゲーム事業を展開し、1月にアクティビジョンを現金687億ドル(発表時のレートで約8兆円)で買収する計画を公表した。有力作品をそろえてゲーム配信サービスなどを強化する狙いで、マイクロソフトのM&A(合併・買収)として過去最大となる。
一方、買収をめぐっては各国の競争法当局が警戒を強めている。マイクロソフトのゲーム機やサービスでしか「コール・オブ・デューティ」などの人気ソフトを遊べなくなれば、競争が失われて消費者に不利益をもたらしかねないためだ。
欧州委員会が11月に買収の本格調査入りを発表したほか、米連邦取引委員会(FTC)が差し止め訴訟に動くとの観測も出ている。ゲーム業界でも、ソニーが買収は競争の阻害につながると指摘している。
マイクロソフトは懸念の払拭に腐心している。5日にはブラッド・スミス社長が米紙への寄稿で「我々の買収を阻止することは、ゲーム業界の競争力を下げ、ゲーマーにとっても悪い状況になる」と主張した。マイクロソフトの幹部らは7日にFTCのリナ・カーン委員長と議論の場を持つと報じられている。
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