アイルランドで制裁金580億円 メタ、異議申し立て

【シリコンバレー=奥平和行】米メタの運営する画像共有アプリ、インスタグラムが欧州連合(EU)の一般データ保護規則(GDPR)に違反したとして、アイルランドの個人情報保護当局が同社に4億500万ユーロ(約580億円)の制裁金を科すことを決めた。メタは6日、決定を不服として異議を申し立てる方針を示した。
アイルランドで個人情報保護を担当するデータ保護委員会(DPC)はインスタグラムの13~17歳の利用者の保護策について調査し、6日までに不備を認定した。具体的にはアカウントを公開する設定を標準としていたことや、一部のアカウントで電話番号などが公表できるようになっていたことを問題視した。
メタの広報担当者は日本経済新聞の取材に対し、「DPCは1年以上前に更新した古い設定に焦点を当てている。18歳未満の利用者は利用開始時に自動的にアカウントを非公開とするようにした」と説明した。また、「DPCの調査には協力してきたが制裁金の算定については同意できず、異議を申し立てる考えだ」と述べた。
インスタグラムはメタの主力SNS(交流サイト)、フェイスブックと比べて若い利用者が多い。成長のけん引役として期待が高い一方、利用者の保護策が不十分との指摘を受けてきた。2021年には元社員の内部告発により米政界などで批判が高まり、児童を対象としたインスタの新サービスの開発を一時中断している。
EUは18年にGDPRを施行し、米IT(情報技術)大手への締め付けを強めてきた。21年7月にルクセンブルク当局がアマゾン・ドット・コムに7億4600万ユーロの制裁金を科し、インスタの処分はこれに次ぐ規模になる。DPCは同年9月、対話アプリのワッツアップで個人情報の管理が不適切だったとして、メタに2億2500万ユーロの制裁金も科している。

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