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パウエルFRB議長「利上げペース加速も」 議会証言で

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【この記事のポイント】
・FRBのパウエル議長は米連邦議会で証言に臨んだ
・データ次第で「利上げのペースを加速する用意がある」と踏み込んだ
・インフレなどについて「軟化傾向が一部逆転した」と認めた

【ワシントン=高見浩輔】米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は7日、米連邦議会上院の銀行・住宅・都市問題委員会で証言に臨んだ。冒頭発言で、インフレ圧力が従来の想定を上回っていると説明。今後のデータ次第では「利上げのペースを加速する用意がある」と踏み込んだ。

パウエル氏は雇用や個人消費、インフレの動向について「1カ月前に見られていた軟化傾向が一部逆転した」と認めた。2月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げ幅を通常ペースの0.25%に圧縮したが、次回会合で再び0.5%に引き上げる可能性を示唆した。

パウエル氏は「最新の経済データは予想を上回る強さとなっており、最終的な政策金利の水準が従来の予想よりも高くなる可能性があることを示唆している」とも話した。FOMC参加者による2022年12月時点の経済見通しでは利上げの到達点は中央値で5.1%だった。

7日の米株式市場でダウ工業株30種平均は5営業日ぶりに反落し、前日比の下げ幅は一時600ドル近くに達した。パウエル氏の発言を受け、金融引き締めへの警戒感が改めて強まり、幅広い銘柄に売りが広がった。債券市場では金融政策の影響を受けやすい2年債利回りが一時5.02%と2007年以来の水準に上昇した。一方、利上げが米景気を冷やすとの見方から、2年債が10年債利回りを上回る「逆イールド」が一段と深まった。

パウエル氏は8日午前にも下院の金融サービス委員会で議員の質問に応じる。議会証言に先立ってFRBは3日、半期に1度の金融政策報告書(通称ハンフリー・ホーキンス報告書)を公表している。

報告書はサービス価格全般について、特に家賃以外の分野で鈍化の兆しが見えていないことを問題視した。新型コロナウイルス禍でレイオフ(一時解雇)が急増した後にそのまま早期退職した人が多く、深刻になった人手不足が賃上げ圧力となって高インフレを下支えする可能性を示唆した。

次回のFOMCは21〜22日に予定されている。追加利上げの決定とともに、FOMC参加者が予想する利上げの到達点がどれほど引き上げられるかに関心が集まっている。

パウエル氏は2月1日、FOMC後の記者会見で「ディスインフレ(インフレ沈静化)へのプロセスが始まった」と発言した。その後に公表された1月の経済指標は米経済の底堅さとインフレ圧力の強さを示すもので、市場関係者は金融引き締めの早期終了を見込んだ楽観論の修正を迫られた。

FRBは議会証言で示されるパウエル氏の現状認識を前提に、10日に公表される2月の雇用統計、14日に出る2月の消費者物価指数(CPI)をみて今後の金融政策を判断する。FRB高官や連銀総裁らは、2月の経済指標が引き続き高インフレの根深さを示唆する内容だった場合、従来の想定よりも強い金融引き締めが必要になると発言している。

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