アルゼンチン裁判所、副大統領に禁錮6年 不正行為で

【サンパウロ=宮本英威】アルゼンチンの裁判所は6日、クリスティナ・フェルナンデス副大統領に対し禁錮6年と公職永久追放の判決を出した。2007~15年の大統領在任中などに公共工事にからんで不正行為を働いたと判断した。在任中は収監されない。上訴は可能で、結審までには今後数年かかる見通しだ。
検察当局は8月、フェルナンデス氏が国家に対して10億ドル(約1370億円)相当の損害を与えたとし、禁錮12年を求刑していた。03~07年に大統領を務めた夫の故キルチネル氏の故郷である南部サンタクルス州で、同氏に近い企業に公共事業を不適切にあっせんした疑いがある。事業は不採算で、工事が完了していない案件も多いという。
フェルナンデス氏は6日、自らの不正行為を否定して「もうひとつ国家があるようなもので、司法は犯罪集団だ」と裁判所を批判した。
フェルナンデス氏は、夫のキルチネル氏の後任として2期8年大統領を務めた。現在も与党内に非常に強い影響力を持つ。23年10月に予定される大統領選挙に与党候補として出馬する可能性も取り沙汰されている。フェルナンデス氏は6日には「どの選挙の候補者にもならない」と述べた。
検察による求刑後の8月にはフェルナンデス氏の支持者が同氏の自宅や議会周辺に集結して大規模な抗議活動に発展していた。