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米中対立、中東に飛び火 イラン核合意巡り主導権争い

(更新)
6日、イラン核合意の参加国は2つの専門部会を立ち上げることを決めた(ウィーン)=ロイター

【ドバイ=岐部秀光、ワシントン=中村亮】深まる米国と中国の対立が、中東に飛び火している。ウィーンで続くイラン核合意の当事国会合では中国がイランの主張を後押しし、連携を鮮明にした。イランは米中対立を見透かして両者をてんびんにかけ、対イラン包囲網の打開を狙う。

核合意の当事国は6日に続き、9日も協議を予定する。米とイランは核合意の再建に向けて欧州を介した間接協議を継続する。

米国務省のプライス報道官は6日の記者会見で、「建設的で、確かに歓迎すべき一歩だ」と述べた。「(核合意再建に向けた)道筋について理解を深めてウィーンを離れられることを期待している」と強調した。イランのアラグチ外務次官も協議について「建設的だった」と評価した。

双方とも今回の協議を前向きに評価した形だが、核合意への米の復帰をめぐって「米英独仏」対「イラン中ロ」の構図が鮮明になった。中国国営の新華社によると、6日の会合で中国の代表団は米が科している対イラン制裁を即座に解除するよう求めた。

関係者によると、イランの交渉団は米国との偶発的な接触を避けるため何度も滞在するホテルの予約を変更した。イランは米国の核合意復帰をめぐり「米制裁の解除が先決」との立場を譲らなかった。米トランプ政権が復活させた原油や金融制裁などすべて解除しない限りイランが核合意の義務履行に戻ることはないという主張だ。

米政権は核合意復帰とともに、イランによるミサイル開発や中東周辺国の親イラン勢力を通じた介入を抑制する方法を検討している。こうした条件を新たに合意に加えるのはイランにとってとうてい受け入れられない要求だ。

イランと中国は3月下旬、経済や安全保障を巡る25年間の長期協定を結んだ。中国を後ろ盾に一段と強気の立場を強める可能性が大きい。さらにイランはロシアのラブロフ外相を自国に招き協力強化をアピールする構えだ。

一方で、イラン国内には中国やロシアへの依存が高まることへの警戒感も根強い。ロウハニ政権が本当に望むのは、強烈な影響を与えている米制裁の一刻も早い解除と国際経済への復帰だ。米国と中国、ロシアとの対立構造を利用しながら対立をうまく利用して米側の譲歩を引き出す狙いだ。

核合意の当事国は6日の協議で、核合意再建に向けて米国とイランがそれぞれ講じるべき措置を議論する2つの専門部会を立ち上げた。専門部会にも米国が間接的に参加するとみられる。

イランの米中をてんびんにかける戦略で事態が膠着する可能性もある。米では共和党だけでなく民主党からもイラン核合意への復帰に対する反対論が出ている。バイデン大統領が安易にイランに妥協すれば、ただでさえ脆弱な政権基盤が揺らぎかねない。

交渉が停滞し、核合意が事実上骨抜きとなれば、中東地域は不安定さを増す。すでにイランは核合意の順守義務を逸脱し、核爆弾を開発できるとされる濃縮度20%のウラン製造に着手している。

イランと敵対するイスラエルやサウジアラビアなどはイランの核開発の進展に神経をとがらせている。核合意を巡る交渉の行方次第では、イスラエルでイランに対する先制攻撃論への支持が広がる可能性もある。

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