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米インフラ投資法案、上院が可決 財政赤字28兆円拡大

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バイデン米大統領は上院での「超党派」の演出に腐心した(6日、ワシントン)=AP

【ワシントン=大越匡洋】米議会上院が10日、1兆ドル(約110兆円)規模の超党派インフラ投資法案を可決し、バイデン政権の看板政策が実現へ一歩近づいた。増税を封印したため財源の詰めは甘く、議会予算局(CBO)はこの法案で財政赤字が10年間に約2560億ドル拡大する恐れを指摘する。成立に必要な下院審議は波乱含みだ。

与党民主党と野党共和党の議席が50ずつで拮抗するなか、共和党の一部議員が同調し、賛成票が60票を上回った。

5年間で約5500億ドルの新規支出を含め、既存の予算を含めて計1兆ドル規模の投資をめざす。道路や橋に1100億ドル、電力網に730億ドル、全米鉄道旅客公社(アムトラック)など鉄道に660億ドル、高速インターネットに650億ドル――。米国の橋の4割は建造から50年以上たち、約7.5%は構造的な欠陥の可能性を指摘される。

「良質な雇用を生み出し、21世紀の経済競争に勝利するための新たな道筋を米国にもたらす」。バイデン大統領は超党派グループと協議を重ね、インフラ投資で雇用創出をめざす自身の看板政策「米国雇用計画」を前に進めようとしてきた。

さらに「超党派」を演出し、米社会の分断修復を訴えてきた自身の言葉を実績で裏打ちすることにこだわった。

増税に反対する共和党との合意を優先し、企業増税で財源を賄う政権の構想はこの法案では見送った。超党派法案は新型コロナウイルス対策の未使用財源などを財源に見込む。これに対しCBOは財政赤字が大きく膨らむ試算を示してみせた。

上院民主党は別途、教育や子育て支援、気候変動対応などに10年間で3.5兆ドルの財政を投じる枠組みを固める「予算決議」の民主党単独での可決をめざす。企業や個人富裕層への増税も法案を詰める過程で実現する方針。だが民主党内の中道寄りの議員は増税幅の圧縮を唱えており、財政規模は最終的に小さくなる可能性がある。

9月に本格化する下院での審議は見通しにくい。8月から復活した政府債務上限の引き上げ・凍結問題も火種となる。民主党は有権者に借金拡大の印象を与えるこの問題に共和党との「連帯責任」で対処したい考え。共和党は民主党単独で解決すべきだと譲らない。バイデン氏演出の「超党派」の空気は早くもかき消えつつある。

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