米議会にトランプ支持者が乱入 上下両院会議は再開
【ワシントン=永沢毅】米連邦議会でバイデン次期大統領を正式に選出する会議を開いていた連邦議会議事堂内に6日、反対するトランプ大統領の支持者が大量に乱入した。トランプ氏が集会で支持者に議事堂に向かうよう促していた。支持者は建物を約3時間にわたって占拠し、会議が中断を余儀なくされた。
議事堂が攻撃を受けるのは、米英戦争のさなかに英軍が火を放った1814年以来、約200年ぶりとなる異例の事態だ。民主主義の根幹である議会への乱入は米国の政治体制を揺らがせかねない。議事堂内で撃たれた支持者とみられる女性1人が死亡し、10人以上が逮捕された。混乱を受けてトランプ氏は「家に帰るときだ」と撤収を呼びかけ、米政府は州兵を出動してデモ隊を排除。会議は6日午後8時(日本時間7日午前10時)すぎに再開した。
ただ、首都ワシントンは同日午後6時から12時間の外出禁止令が発令され、厳戒態勢が敷かれた。
連邦議会が6日に開いたのは上下両院合同会議で、連邦法に基づく大統領選出に向けた手続きの一つ。各州で選出された選挙人による投票結果を最終的に確認し、バイデン氏を次期大統領に正式に選出する最後のプロセスとなる。
通常なら短時間で終わるが、この日はバイデン氏が勝利した西部アリゾナ州の結果に共和党から異議申し立てがあり、合同会議はいったん中断した。上下両院それぞれが異議に関する討論に入ったさなかに、乱入事件がおきた。
バイデン氏は地元の東部デラウェア州で演説し「民主主義への前例のない攻撃だ。これは暴動だ」と乱入者を批判。トランプ氏に事態の沈静化を呼びかけるよう要求した。これを受け、トランプ氏はSNS(交流サイト)にビデオメッセージを投稿して「家に帰るときだ」と求めた。
ただ、乱入をあおったのはトランプ氏自身だ。合同会議に先立ち、ホワイトハウス近くで選挙結果に抗議する大規模な集会を開催し「敗北を認めない。(議事堂につながる)ペンシルベニア通りを歩き、この国を取り戻すのに必要な誇りと大胆さを(連邦議会議員に)与えよう」と聴衆に議事堂に向かうよう促していた。
警察当局は不審物がある可能性があるとして、下院の建物からの退避を下院議員らに呼びかけた。議事堂の外では警官隊と支持者が衝突する場面もあり、混乱を極めた。
※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。
この投稿は現在非表示に設定されています
(更新)

アメリカの「バイデン政権」に関する最新ニュースを紹介します。その他、日米関係や米中対立、安全保障問題なども詳しく伝えます。