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米政府・NY証取 中国通信3社の上場廃止めぐり迷走

(更新)
中国電信のNY上場セレモニー(06年6月、ニューヨーク証券取引所)=AP

【ニューヨーク=宮本岳則】ニューヨーク証券取引所(NYSE)は6日、中国移動(チャイナモバイル)など中国国有通信3社の上場廃止を再決定した。2020年12月末に上場廃止方針を公表したが、1月4日に撤回し上場維持を認めると発表していた。方針が二転三転したことで市場に混乱を招いている。

NYSEは中国移動と中国電信(チャイナテレコム)、中国聯通(チャイナユニコム)香港の上場廃止手続きを再開する。11日から売買ができなくなる見通しだ。米財務省の外国資産管理局(OFAC)の新たなガイダンスに沿って、上場廃止を決めたとしている。OFACは外交・安全保障上の目的で、米国が指定した国・地域や特定個人・団体について、取引禁止や資産凍結などの措置を講じる部局だ。

NYSEは中国人民解放軍と関係が深い企業への投資を禁止する米大統領令に照らして、通信3社の上場継続の可否を判断している。米ブルームバーグ通信によると、4日に公表した上場維持方針についてムニューシン米財務長官が異議を唱え、NYSEは再考を迫られていた。米株式市場では上場廃止の再決定を受けて、中国移動など3社の米預託証券(ADR)の価格が大幅反落した。

上場廃止を巡るドタバタは、政官民の調整不足を露呈した。米国防総省が20年6月以降、「中国人民解放軍と関係が深い」企業のリストを公表し、現時点で35社が認定された。トランプ米大統領は同11月、米投資家によるリスト入り企業の売買を禁止する大統領令に署名した。売買禁止措置は11日から始まり、すでに保有している銘柄は11月までに売却が必要となる。ただ大統領令の適用範囲が曖昧で、当初から市場関係者の混乱を招いていた。

リスト入り企業には中国移動の親会社の中国移動通信集団など非上場企業も多い。上場廃止を巡る判断で焦点となったのは、子会社の米上場企業を取引禁止対象にするかどうかだった。OFACは20年12月28日、「よくある質問」への回答を公表する形で、対象企業の子会社株やそれらを組み入れた上場投資信託(ETF)も投資禁止対象になるとの指針を示した。

NYSEは20年の売買最終日である12月31日に中国通信3社の上場廃止手続き開始を発表した。大統領令に照らすと上場基準を満たさない、との理由だった。OFACが直前に出した「子会社も適用範囲に含める」との指針が、上場廃止判断の決め手になったとの見方が多い。

年明けからNYSEの迷走が始まった。4日夜に上場廃止方針の撤回を突如公表し、市場を驚かせた。声明ではOFAC関係者との追加協議を踏まえ、上場廃止措置は必要ないとの判断に至ったと説明したが、詳細は明かさなかった。

政治家はNYSEの上場廃止撤回に反発した。対中強硬派の代表格、共和党のルビオ上院議員は5日、ツイッター上で「財務省内の誰かがNYSEに上場廃止方針を撤回するようアドバイスしたのが事実なら、大統領令の効力を低下させる許しがたい行為だ」などと発言した。ムニューシン米財務長官はNYSEのステイシー・カニンガム社長に電話をかけ、中国通信3社の上場廃止手続きを止めたことに異議を伝えたという。

政治側の反発でNYSEとOFACは対応を迫られた。OFACはNYSEの質問に対して5日、大統領令は中国通信3銘柄の取引を禁じていると具体的に回答し、その内容を6日に公表した。NYSEは同日、OFACの新たなガイダンスに沿って、上場廃止の手続きを再開すると発表した。

上場廃止を巡る混乱は、株価指数算出会社にも影響を及ぼしている。米S&Pダウ・ジョーンズ・インディシーズは、NYSEが6日に上場廃止を再決定したことを受けて、中国通信3銘柄を複数の指数から除外すると発表した。同社はNYSEの上場廃止方針撤回でいったん除外を取りやめていた。米MSCIは当初から指数の除外対象に3社を含めていないが、OFACの新指針公表で追加の対応を迫られる可能性がある。

今後は中国政府の出方が焦点となる。中国外務省の華春瑩報道局長は6日の定例記者会見で上場廃止手続きを巡る観測報道について「米国は法の支配とマーケット原則を尊重すべきだ」と述べた。上場廃止が決まった場合の報復措置については言及しなかった。

上場会社を監督する中国証券監督管理委員会(証監会)は上場廃止措置の影響は軽微と強調している。中国移動など3社は香港株式市場に重複上場をしており、投資家は引き続き売買可能だ。証監会は3日に公表した記者とのやりとりの中で、米国に上場するADRは3社の合計株式数の2.2%にすぎないと指摘し、株式の流動性や今後の資金調達に支障はないと述べた。

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