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検査キット配布、握手はOK? コロナ禍が変えたCES

(更新)

【ラスベガス=佐藤浩実】米ラスベガスで2年ぶりに開催中のテクノロジー見本市「CES」。各社の展示とともに目を引くのが、新型コロナウイルスの感染対策の数々だ。コロナ検査キットの配布や握手の意思を示すシール…。会場を歩いて、大型見本市の「新常態」を探った。

「どう交流したいですか?」。CESの展示会場に入ると、2年前はなかった3色のシールの山に迎えられた。握手に抵抗がない人は緑、「グータッチ」派は黄色、触れ合いを控えたい人は赤を選んで首から下げた入場証に貼る。コロナ禍の見本市で、おのおのの参加者が求める距離感をつかむための工夫だ。

韓国サムスン電子のブースの脇には、キオスク端末がずらりと並ぶ。入場証のQRコードをかざして受付を済ませると「約20分後に入れます」とメールが届いた。ブース内が過密にならないよう人数を調整する試みで、入場可能になると再びメールを受け取る。持ち運び式プロジェクターなどの新製品を例年よりもゆったりと見られた。

1月の風物詩だったCES。コロナの影響で2021年はオンライン開催に振り替えたが「偶然の出会いがなくなった」との声は多く、2年ぶりに会場展示を復活させた。ただ世界で変異型「オミクロン型」の感染が急速に広がり、今も米国だけで1日55万人(7日移動平均)の新規感染者を確認している。各地から人が集まるイベントとコロナ対策をいかに両立するかは、今回のCESの一大テーマだった。

会場やシャトルバスなどでマスク着用を義務付けたり、消毒液を用意したりするのは基本だ。講演を聴くための席は座る間隔をあけ、人が行き交う通路の幅も例年より広げた。さらに、コロナ対策は入場前から始まる。

CESを主催する米民生技術協会(CTA)は今回、世界保健機関(WHO)が認めるコロナワクチンの「接種完了」を参加の条件とした。必須ではないものの、追加接種(ブースター接種)も推奨。ワクチンの接種証明を見せた人だけが、CES会場への入場証を受け取れる仕組みにした。

米アボット・ラボラトリーズ製の簡易抗原検査キットも参加者全員に配布した。鼻の粘膜を採取してコロナ感染の有無を診断するキットで、15分ほどで結果がわかる。アボットのロバート・フォード最高経営責任者(CEO)は「安全に集まるために必要な答えを得られる」と言う。

結果の提出は必要ないため、テストは「性善説」に立つ試みだ。ただCTAはアプリのプッシュ通知なども使って入場前24時間以内に検査をするよう繰り返し求めた。帰国時に必要な人向けに、会場でPCR検査も受けられるようにした。

リスクは完全に消えるわけではない。重症化しにくいとされるものの、オミクロン型はワクチン接種を済ませた人も感染している。米国での感染拡大が顕著になった12月下旬には、米グーグルや米アマゾン・ドット・コムなど大手企業が相次ぎCESへの参加を取りやめた。会場では直前の参加見送りによって、ぽっかりと空いたスペースが目立った。

一方、スタートアップ企業の参加者からは会場開催を続けるための対策を歓迎する声を聞いた。ブレスレット型の防犯機器を開発する仏マイエリの創業者ルディヴィン・ロマリー氏は「認知度を高めるには見つけてもらいやすい場所に行って直接交流するのが一番。開発パートナーを探したい」と話す。会場に出展した約2200社のうち、8割は中堅・中小企業だという。

今回のCESの来場者数は約17万人が来場した2年前の水準には遠く届かない見通しだ。それでもCTAのゲイリー・シャピロCEOは「前に進むことが重要だ」と言う。コロナの変異型は今後も出現するとみられる。経済活動と防疫の両立は継続的な課題となる。

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