米モデルナ、ワクチン特許放棄に反論 「供給増えない」

【ニューヨーク=中山修志】米バイオ製薬モデルナのステファン・バンセル最高経営責任者(CEO)は6日、バイデン米政権が新型コロナウイルスワクチンの特許の一時放棄を支持したことについて「特許を放棄しても供給量は増えない」と反論した。製薬会社が新たに生産体制を整えるには時間がかかると指摘し、独力で十分な供給が可能だとの認識を示した。
バンセルCEOは同日の決算会見で「我々は既に多くの国とワクチン供給で合意し、十分な生産能力がある」と主張。世界保健機関(WHO)や米政権が求める特許の一時放棄について「パンデミック(世界的大流行)の期間に供給が増えることにはつながらず、何も変わらない」と述べ、開発や生産への影響は軽微だと説明した。
進行中の12~17歳への新型コロナワクチン投与の治験については「初期データで96%の効果が認められ、現時点で安全上の深刻な問題は確認されていない」と述べた。
同日発表した2021年1~3月期決算は売上高が19億ドル(約2100億円)、最終損益が12億ドルの黒字(前年同期は1億ドルの赤字)だった。日欧や新興国で本格的にワクチン供給が始まり、売上高は前四半期から3.4倍に伸びた。21年通年のワクチンの売上高見通しを従来予想の4%増の192億ドルに引き上げた。
バイデン米政権は5日、新型コロナワクチンの特許権の一時放棄を支持すると発表した。同ワクチンはモデルナの売上高のほとんどを占めており、業績への影響が懸念されている。5日の米株式市場で同社株は終値ベースで前の日から6%急落し、6日も一時10%超下げた。

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