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ウクライナ国民、ロシア侵攻時に最大5万人死傷 米分析

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【ワシントン=坂口幸裕】ロシアがウクライナに再侵攻した場合、最大5万人の民間人が死傷すると米政府が分析していることがわかった。親米欧のウクライナ政府は数日以内に崩壊し、最大で500万人の難民が生まれる可能性がある。米主要メディアが5日、相次ぎ報じた。

米政府高官が3日に上下両院の議員に非公開でウクライナ情勢について説明した。米紙ニューヨーク・タイムズなどによると、全土を制圧する最大規模の軍事侵攻に踏み切れば、民間人で2万5000人から5万人、ウクライナ軍で5000人から2万5千人、ロシア軍で3000人から1万人の死傷者が出る可能性があると試算した。

ロシア軍はすでにウクライナを完全制圧するのに必要な戦力の70%を集めたという。侵攻によって100万人から500万人の難民が発生し、その多くがウクライナの隣国ポーランドに向かう公算が大きい。

バイデン政権はロシアのプーチン大統領が侵攻を最終決断したとは評価していないものの、ロシアとベラルーシ両国のウクライナ国境付近で軍部隊の増強を続けているとみる。米側はこれまで10万人規模の軍を集結させているとの分析を公表してきたが、13万人ほどに膨らんでいるとの見方が出ている。

米欧とロシアの緊張は一段と高まっている。米政府は2日、東欧諸国などに計3000人規模の米軍を独自に派遣すると決めた。ウクライナ南西部に国境を接するルーマニアに1000人、ロシアが最大3万人の部隊を配置したベラルーシの西部に位置するポーランドに1700人をそれぞれ派兵する。

英国やフランスなども東欧への軍派遣を検討している。現在も軍備増強をやめないロシアによる脅威の高まりを受け、米国と欧州の主要国が足並みをそろえて北大西洋条約機構(NATO)に加盟する東欧の抑止力を高める狙いがある。

米政府はロシアがウクライナに再侵攻する口実をでっち上げるための動画をつくっているとの情報を入手したとも明らかにしている。侵攻を正当化するための準備の一環とみて警戒を強める。

英紙フィナンシャル・タイムズは、ロシア政府が2月中旬に核兵器使用を想定した軍事演習を計画していると報じた。米軍制服組トップのミリー統合参謀本部議長とヘインズ国家情報長官が3日、米下院議員らに「プーチン氏が2月中旬に演習を開始する予定だ」と説明した。

FTによると、ロシアは例年、戦略核弾頭などを運ぶ大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射実験を秋に実施する。今回の時期の前倒しは東欧に増派する米欧に対抗し、軍事力を誇示する思惑が透ける。ロシアは米国の増派方針に「破壊的な措置」(グルシコ外務次官)などと反発していた。

米欧とロシアは対話を継続しているものの、打開の糸口は見いだせていない。ロシアが2021年12月に示した欧州の安全保障体制構想を巡る立場の隔たりは大きい。

米欧は1月26日、ロシアが強くこだわるNATOの東方拡大停止の確約などを拒否すると書面で正式に回答した。米国は米欧とロシアの双方が軍事演習を制限する案などを提示したが、ロシア側の要求との溝は大きい。

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