/

バイデン米政権、中国との対話にカジ 首脳会談も模索

【ワシントン=坂口幸裕、北京=羽田野主】米国と中国の外交当局者が6日、スイス・チューリヒで会談した。10月末にイタリアで開く20カ国・地域首脳会議(G20サミット)に合わせたバイデン大統領と習近平(シー・ジンピン)国家主席の初の対面による首脳会談を巡る探り合いの場になる。

ロイター通信が報じた。米国からはサリバン大統領補佐官(国家安全保障担当)、中国からは外交担当トップの楊潔篪(ヤン・ジエチー)共産党政治局員が参加した。両者が対面するのは激しい応酬となった3月のアラスカ州アンカレジ会談以来だ。ジャンピエール米大統領副報道官は5日、記者団に「我々は米中競争を責任ある形で管理しようとしている。それが会談の目的だ」と説明した。

米中首脳は9月上旬の電話協議で両国の緊張緩和に向けて努力することで一致していた。しかし英紙フィナンシャル・タイムズによると、バイデン氏はこの場で習氏に対面の首脳会談を提案したが、習氏は返答しなかったとされる。

米国側は相次ぎ中国との対話に向けたカードを切ってきた。米通商代表部(USTR)は4日、中国との貿易交渉を再開すると発表。米司法省は9月下旬に中国の華為技術(ファーウェイ)の孟晩舟・副会長兼最高財務責任者(CFO)を解放し、約3年にわたる米中の懸案を解決した。

10月末には第26回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)も始まる。アフガニスタンからの米軍撤収の混乱を巡り国内で批判を浴びているバイデン政権にとって、金看板である気候変動対策で不可欠な中国との協調の糸口をつかむことができれば失地回復につなげられるとの思惑もにじむ。

習氏は9月下旬に国連総会でビデオ演説し、海外で石炭火力発電を新設しない方針を表明。気候変動対策で米側と接点を見いだす狙いがあるとの受け止めも出ている。首脳会談の実現へ向けて、6日の側近同士による接触は中国側の出方が焦点になる。

来年秋に開く共産党大会で異例の3期目入りをめざす習氏にとって、最大の課題は対米関係の改善だ。党内で党関係者へのビザ制限や対中制裁の解除を求める声は強い。

習指導部は孟氏の解放を「中国外交の勝利」と誇示している。米中首脳の対話でさらなる緊張緩和につなげたいとの思惑がある。バイデン氏も冷え込む米中関係の行き詰まりを打開し、偶発的な衝突を避ける意思疎通を続けるべきだとの構えを見せる。

ただ、両国の溝は深い。バイデン政権は中国に対する圧力をかけ続けてきた。9月には英国、オーストラリアとの安全保障協力の新たな枠組み「AUKUS(オーカス)」を公表。直後に日本、豪州、インドの4カ国による「Quad(クアッド)」の首脳会議をワシントンで開いた。価値観を共有する多国間協力を通じて中国に対抗する米国の戦略を象徴する。

中国は台湾を含む安全保障や新疆ウイグル自治区の人権の問題で関与を強める米政府に不信感を抱く。習氏はバイデン氏との電話協議で「米国の対中政策が、中米関係を深刻に悪化させた」と伝えた。中国は台湾への軍事的な威嚇をエスカレートさせている。中国軍機を台湾の防空識別圏(ADIZ)に相次ぎ侵入させる行動は対中圧力へのいら立ちを物語る。

バイデン氏は5日、ホワイトハウスで記者団に対し、台湾をめぐる習氏との過去のやり取りに触れて「合意から外れることはすべきではないと明確に伝えた」と明らかにした。やり取りの時期に加えて合意が何を指すのかは不明だが、米国の「一つの中国」政策を意味している可能性がある。

歴代米政権は中国大陸と台湾は1つの国に属するとの立場を示したが、台湾問題をめぐり1972年の米中共同声明などで当事者による「平和的解決」を支持してきた。5日のバイデン氏の発言は台湾に軍事的圧力をかける中国に自制を迫る意図があったとみられる。

習氏は2020年1月にミャンマーを訪問して以来、外国訪問を控えている。外国要人の北京訪問も原則受け入れていない。中国外交筋は「新型コロナウイルスの感染対策を徹底するためだ。首脳外交は当面オンラインでやればよい」と話す。G20サミットに習氏が赴くには感染症対策もハードルになりそうだ。

すべての記事が読み放題
有料会員が初回1カ月無料

関連トピック

トピックをフォローすると、新着情報のチェックやまとめ読みがしやすくなります。

セレクション

トレンドウオッチ

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
新規会員登録ログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
新規会員登録 (無料)ログイン
図表を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した図表はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン