米年末商戦、オンライン売上高4%増 値引き拡大で

【ニューヨーク=白岩ひおな】米アドビが5日発表した2022年11~12月の米年末商戦のネット通販集計によると、売上高は前年同期比3.5%増の2117億ドル(約28兆円)と過去最高になった。おもちゃやゲーム、衣料品などの販売が伸びた。インフレ下で消費者が節約志向を高めるなか、在庫削減を急ぐ小売り各社が値引き率を広げて需要を喚起した。
11月24日の感謝祭の祝日から25日の一斉セール「ブラックフライデー」、28日のオンラインセール「サイバーマンデー」までの5日間(サイバーウイーク)のオンライン消費額は4%増の353億ドルで、全体の伸びをけん引した。11~12月に消費額が1日30億ドルを超えた日は38日間に上り、例年のピークとなるサイバーウイークの前後にも消費が堅調だったことがうかがえる。
分野別にみると、11~12月におもちゃの売上高は3倍、ビデオゲームが2.2倍、衣料品やアクセサリーが1.9倍と好調ぶりが目立った。小売り各社が在庫過剰の解消に動いたため、おもちゃの割引率が34%と前年の19%を大幅に上回るなど、例年より安売りの傾向が強まった。
数値はインフレ調整されていないが、アドビは年末商戦の売り上げ増は「(インフレによる)価格上昇ではなく、新規の需要によってもたらされたものだ」と強調する。18の商品分野でオンライン価格を追跡しているアドビの指標によると、22年9月以降、オンライン価格は前年同期比で下落が続いている。「インフレを織り込んだとしても、消費者の根底にある需要は伸びている」とした。
アドビ・デジタル・インサイツのビベク・パンドゥヤ氏は「消費者が食料品やガソリン価格、家賃の上昇に対処するなか、年末商戦の割引がシーズン全体の裁量支出の増加を促す要因になった」とみる。
オンライン販売の47%がスマートフォン経由の注文で、12月25日のクリスマスには61%に上った。後払い決済「BNPL(バイ・ナウ・ペイ・レーター)」の利用件数は11~12月に前年同期比4%増えた。一方で売上高は2%減少しており、物価高で予算の限られた買い物客がより少額の商品を後払いで購入するケースが多かったとみられる。