米のLNG輸出、世界トップに 豪州とカタール抜く

【ヒューストン=花房良祐】米国産の液化天然ガス(LNG)の輸出量が2021年12月、月次ベースで世界一となった。これまではオーストラリアとカタールが輸出国のトップ争いを繰り広げてきたが、「シェール革命」を受けて米国のLNGの存在感が急速に増している。
米CNNなどによると、米国の21年12月の月次の輸出量は約770万トンとなり、700万トン台のカタールとオーストラリアをわずかに上回ったという。正式な統計はまだ公表されていないが、LNG運搬船を追跡するデータを集計して報じた。

背景には、00年代後半に始まったシェール革命を受けて米国内では安価なガスが大量生産されるようになったことがある。米南部でプラントが相次いで稼働し、21年は天然ガス価格が高騰する欧州向けの輸出が増えた。米本土からLNGの輸出が始まったのは16年で、約6年で世界一の座に駆け上がった。
22年は建設中のプラントの稼働が相次ぎ、LNGの生産能力も世界一となる見通しだ。米エネルギー情報局(EIA)によると、米国のLNG生産能力は22年末までに前年比2割増の日量139億立方フィート(年産約1億100万トン)となりそうで、オーストラリアの日量114億立方フィート(年産約8300万トン)とカタールの日量104億立方フィート(年産約7600万トン)を追い抜くという。
欧州では天然ガス相場の上昇を受け、パイプラインで輸入するロシア産ガスに依存することへの警戒感も高まっている。欧州に輸出しやすい位置にある米国のLNG生産能力の増強は、エネルギー地政学にも影響しそうだ。
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