9月の米非製造業景況感、3カ月ぶり悪化 人手不足続く

【ニューヨーク=竹内弘文】米サプライマネジメント協会(ISM)が5日発表した9月の非製造業(サービス業)景況感指数は56.7と前月から0.2ポイント低下した。低下は3カ月ぶり。物価高で個人消費に陰りが出ているため。人手不足感も引き続き強かった。
景況感指数は50を上回れば経済活動の「拡大」、下回れば「縮小」を意味する。サービス業の指数は2020年6月以降、2年4カ月連続で50を超える水準を維持している。インフレ圧力や米連邦準備理事会(FRB)の金融引き締めを背景に市場では指数の悪化を見込む声が多かった。

項目別では、企業の活動状況を示す指数は59.1と前月比1.8ポイント下がった。調査対象の企業からは「物価高に対する消費者の懸念から、レストランの売り上げの落ち込みが大きい」(飲食業)といった回答があった。新規受注は60.6と1.2ポイント下がった。輸送業やエンターテインメント業界で悪化が目立つ。
数値が高いほど遅れを示すサプライヤーの納期の指数は53.9と0.6ポイント下がった。新型コロナウイルスやロシアのウクライナ侵攻によるサプライチェーン(供給網)の混乱が収束に向かっていることを映した。雇用の指数は53.0と2.8ポイント上昇し、サービス業で依然深刻な人手不足が続いていることを示した。
3日発表のISM製造業景況感指数が好不況の節目50に迫る悪化を見せたのに比べ、サービス業の指数の下げ幅は小さかった。ただ、英キャピタル・エコノミクスは物価高の継続などを背景に「米サービス業の景況感の耐久力は長くは続かないだろう」とみていた。
5日発表のJPモルガンとS&Pグローバルが算出する世界の企業の景況感を示す9月の総合指数(購買担当者景気指数=PMI)は49.7だった。前月比で0.4ポイント上昇したものの、好不況の境目となる50を2カ月連続で下回った。米国やユーロ圏、英国などで悪化した。