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米FTC、競合企業への転職禁止に反対 「自由を妨害」

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【ワシントン=赤木俊介】米連邦取引委員会(FTC)は5日、営業秘密の漏洩などを防ぐため従業員の競合企業への転職を禁ずる「競業避止義務」を全面的に禁止する規則を提案した。FTCは義務を禁止することで労働者の転職先が増え、起業活動や技術革新が活発になり米企業の競争性の向上につながるとしている。

FTCは競業避止義務が不当、あるいは欺瞞(ぎまん)的な商業活動を禁ずる連邦取引委員会法第5条に反すると主張した。同義務は従業員の転職先を制限することで労働市場における効率的な労働者の割り振りを阻害し、競争性を損なうと説明した。

FTCによると、米国ではおよそ3000万人の労働者が競業避止義務の対象となっている。FTCは義務の禁止により労働者の賃金が合計で年間3000億ドル(約40兆円)増加すると試算した。

FTCのリナ・カーン委員長は同日、声明で「転職の自由は経済的な自由、そして競争性が高く繁栄する経済の根幹にある」と述べた。「競業避止義務は労働者の転職の自由を妨害し、賃金や労働環境を向上させる機会を奪う。FTCの提案はより活発な経済活動、イノベーション、そして健全な競争性をもたらす」と主張した。

バイデン米政権は国際競争力を高めるため、M&A(合併・買収)や独占に寛容だったこれまでの米政府の姿勢が米社会に経済格差をもたらしたとみて政策転換を探っていた。バイデン大統領は2021年7月、競争促進に向けた大企業の監視強化を求める大統領令に署名した際に発表した声明で「強大な企業が労働者に競業避止義務を強制し、転職の機会を大幅に制限している」と懸念を示していた。

FTCは22年5月、民主党系の委員が多数派となった経緯がある。FTCは反トラスト法(独占禁止法)を所管するほか、消費者保護を担っており、企業の提訴や規制の変更を委員会の投票で決める。労働者に寄り添った左派色の強い政策を進められるようになった。FTCはこれまで米マイクロソフトやメタ(旧フェイスブック)などといった巨大IT企業への圧力を強めていた。

全米商工会議所の国際規制関連・反トラスト部門のシニアバイスプレジデント、ショーン・ヘザー氏は5日、声明で「FTCの提案は明らかに違法だ。連邦議会はFTCにこのような権限を与えておらず、越権行為だ」と反発した。「競業避止義務を全面的に禁ずることはあらゆる州の法律に抵触する。競業避止義務は適切に利用されれば技術革新を促し企業の競争性を維持する」と訴えた。

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