Amazon、衛星打ち上げ ブルーオリジンなど3社と契約

【ニューヨーク=白岩ひおな】米アマゾン・ドット・コムは5日、低軌道衛星を使った世界規模のインターネット通信サービス「プロジェクト・カイパー」の衛星を打ち上げるロケットを確保するため、同社の創業者率いる米宇宙開発ベンチャーのブルーオリジン、米ユナイテッド・ローンチ・アライアンス(ULA)、仏商業衛星大手アリアンスペースの3社と契約を結んだと発表した。最大83基の打ち上げが可能となる。
米ロッキード・マーチンと米ボーイングが共同出資するULAの新型ロケット「バルカン」による38回分の打ち上げを確保した。アマゾンは2021年4月に同社の大型ロケット「アトラスV」を9機確保したことも発表している。バルカンは初の打ち上げが22年後半に見込まれる。
ブルーオリジンとの契約には次世代機「ニューグレン」による12回の打ち上げに加え、最大で15回の打ち上げを追加できるオプションが含まれる。ニューグレンの初打ち上げの公式目標日は公表されていないが、米CNBCは24年以降になると報じている。商業衛星大手の仏アリアンスペースの「アリアン6」で18回分の打ち上げも確保した。
アマゾンは5日の声明で「商業宇宙産業で過去最大のロケット契約になる」と述べた。金額など契約の内容は明らかにしていない。プロジェクト・カイパーは高度約600キロメートル前後の低軌道に約3200基の衛星を打ち上げる計画だ。20年7月に米連邦通信委員会(FCC)から包括的な認可を取得し、100億ドル(約1兆2300億円)を投じる。
21年11月には、米スタートアップのABLスペース・システムズが開発中の小型ロケット「RS1」を採用し、最初の2基の実験用衛星を22年10~12月までに打ち上げると発表した。アマゾンはその後の運用衛星打ち上げのスケジュールを公表していないが、FCCの規定では、同社は6年以内に計画中の衛星の半分にあたる約1600基を軌道上に配備することが義務づけられている。
数千基~数万基の小型衛星を打ち上げ、低コストで遅延の少ない通信網を実現する試みは民間企業の投資が相次ぐ。米テスラの最高経営責任者(CEO)、イーロン・マスク氏が率いるスペースXは同分野で先行。衛星通信サービス「スターリンク」で1000基を超える小型衛星を打ち上げ、米国などで試験サービスを始めている。