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「中国、重大な競争相手」 バイデン氏、初の外交演説 

駐独米軍削減を凍結 同盟国重視 脅威に対抗

バイデン米大統領は世界的な米軍の態勢見直しを打ち出した=AP

【ワシントン=永沢毅】バイデン米大統領が同盟関係の修復に向け、海外駐留米軍の配備の見直しに乗り出す。4日の初の外交演説で、トランプ前政権が決めたドイツ駐留米軍の削減計画の凍結を発表した。演説で「重大な競争相手」と位置づけた中国や、ロシアの脅威に対抗するため、欧州や日本など同盟国との連携を強める。

「米国は戻ってきた。外交を再び対外政策の中心に据える」。バイデン氏は4日、国務省で初めて実施した外交演説で強調した。

まず示したのは、米国第一を掲げたトランプ氏の外交政策の転換だ。バイデン氏は「米国の外交政策や安全保障の優先課題に適合させるため、オースティン国防長官が米軍の世界的な態勢を検証する」と述べ、3分の2に縮小する予定だった駐独米軍再編を検証が終わるまで見合わせると明らかにした。

駐独米軍の削減は2020年夏、トランプ前政権がドイツとの調整も経ずに決めた経緯がある。ドイツが国防費を十分に負担していないと判断したためで、北大西洋条約機構(NATO)などからはロシアの脅威が増すなかでの一方的な決定に不満の声があがっていた。

オースティン氏は声明で「米軍の態勢見直しに際しては、同盟国や友好国と相談する」とトランプ前大統領との違いを明確にした。駐独米軍の削減計画の凍結はバイデン氏が掲げる同盟国重視の一環といえる。

バイデン政権でアフガニスタンの米軍撤収期限の延期論が浮上しているのも同じ文脈だ。アフガンに駐留するNATO加盟国と足並みをそろえ、現地の治安安定に取り組むべきだとの声がある。トランプ氏は海外の米軍縮小という選挙公約の実現を優先し、反政府武装勢力タリバンとの合意に基づく5月の撤収に前のめりだった。

歴代米政権は安全保障環境に応じて米軍再編に取り組んできた。ブッシュ(第43代)政権は米同時テロに直面したことで旧ソ連との冷戦を想定した陸軍中心の態勢を見直し、機動性を重んじる非対称のテロとの戦いに軸足を置く米軍のトランスフォーメーション(変革)に動いた。

オバマ政権はアジア太平洋へのリバランス(再均衡)を提唱し、中東や欧州からオーストラリアなどへの配置転換を志向した。ただ、過激派組織「イスラム国」などテロとの戦いに終止符を打つことができず、構想は道半ばに終わった。

トランプ前政権は国防費負担の削減を重視するトランプ氏の意向が強く、安全保障戦略は後回しにされがちだった。日本、韓国には駐留米軍の撤収をちらつかせながら負担増を迫ったこともある。その交渉は決着せず、バイデン政権に持ち越した。バイデン氏は最大の競争相手である中国の抑止に向けてどう米軍を配置するのが適切かを探ることになる。

欧州はアジアの安全保障に関与を強めている。ドイツはフリゲート艦の日本派遣の検討を進め、英国は空母クイーン・エリザベスをインド太平洋に送る。南シナ海への海洋進出など中国の動きが念頭にあるのは明らかだ。

バイデン氏は4日の演説で、トランプ氏が軽視した中国の人権問題も取り上げた。中国の人権弾圧を明示して「攻撃的な行動に対抗する」と宣言した。

NATOはバイデン政権発足後で初めてとなる国防理事会を17、18両日にオンラインで開く。アフガンでの対テロ作戦、NATOが伝統的な脅威に据えるロシアに加え、中国への対処を協議する。トランプ前政権できしんだ同盟再構築に向け、具体的な第一歩となる。

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