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米就業者42万人増、失業率横ばい3.6% インフレ圧力なお

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【ワシントン=高見浩輔】米労働省が6日発表した4月の雇用統計によると、非農業部門の就業者数は前月から42万8000人増えた。増加幅は前月と同じで、市場予想を若干上回った。失業率は前月の3.6%から横ばいだった。労働市場の逼迫による賃上げが、さらなるインフレ圧力となる構図が続く。より急ピッチな利上げが必要になれば、将来の景気後退を呼び込むリスクも高くなる。

就業者数の市場予想は40万人増だった。失業率は新型コロナウイルス禍前の2020年2月に、1969年12月以来となる3.5%まで低下していた。再びその水準に近づいている。

「労働市場の逼迫をコロナ禍前に戻すには、求人数が1150万人から約700万人に減らなければならない。これは数カ月、いや数四半期かかる数字だ」。米証券ジェフリーズは4日、こんなリポートを出した。

米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長の「経済対策や金融政策による支援が弱まれば雇用創出は鈍化する」との見解にかみついた。

求人が多いのは経済成長にとって本来プラスだ。それが今の米国にはリスクとなる。

人手不足で企業が賃上げを迫られ、コスト上昇をモノやサービスの価格に転嫁し、生活コストの上昇に直面した消費者がさらに高い賃金を求める。パウエル議長は「インフレスパイラル(連鎖)の心配はない」と話したが、賃上げを警戒しなければいけないところに米経済の複雑さがある。

コロナ禍で退職した働き手が十分に戻ってきていない問題が根っこにある。首都ワシントンで求人広告を掲げたままの衣料品店に入ると、1人の店員が5人の客を相手していた。「コロナ禍で人員を減らした。その後、求人を出しても求職者が現れない」という。

16歳以上の人口に占める就業者と求職者の割合を示す労働参加率は4月時点で62.2%と3月からむしろ低下した。コロナ禍で急落する前から1ポイント程度低い水準だ。回復ペースは遅い。感染を警戒して外出を控えたい人や、介護のため復職できない人、給付金や株価の上昇で共働きをやめた人など、FRBは複数の理由を指摘している。

1~3月期の米実質経済成長率は年率1.4%のマイナスだった。国内での供給が需要回復に追いつかず、輸入が急増した結果だ。米商務省が4日発表した3月の貿易収支は、赤字幅が前月比19.2%増の1271億ドル(約16.5兆円)と過去最大を記録した。

パウエル議長は通常の倍の0.5%の利上げを6、7月も含めて3連続で実施する構えだ。インフレの封じ込めに手間取れば、さらに加速を求められる。需要を過度に冷やし、景気後退を招くリスクと背中合わせだ。

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