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「柴犬」コイン、100倍高の狂騒(NY特急便)

米州総局 後藤達也

(更新)
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ドージコインの価格が高騰している(ドージコインのホームページより)

5日の米株式市場は落ち着いた値動きで、もっぱら話題を集めたのは「柴犬」をモチーフにした暗号資産(仮想通貨)のドージコインだ。価格は年明けから100倍以上で、この5日間だけでも2倍以上に高騰した。冗談で作られたコインの価値は10兆円に迫り、熱狂的な雰囲気が強まっている。

ドージコインの価格は5日、一時0.69ドルと史上最高値を付けた。時価総額は900億ドル(約10兆円)となり、XRPやテザーを上回る仮想通貨4位に浮上している。日本株に当てはめれば、ファーストリテイリングを超え、6位となる金額だ。年明けから100倍以上という上昇率のみならず、規模としても目を離せない水準になってきた。

ドージコインは2013年に米国プログラマーのビリー・マーカス氏が冗談で始め、数時間のうちに開発した。特定の資産とは結びついておらず、決済での利用もほとんど不可能だ。最近は「値上がりするから買う」といった様相が強く、マーカス氏自身が4月に「これは異常なことだ」とツイッターに投稿した。

高騰のきっかけを作ったのはテスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)だ。ツイッターに相次いで投稿し、それをはやした売買が活発化した。マスク氏は4月28日に「ドージファーザー」として5月8日のテレビ番組「サタデー・ナイト・ライブ」に出演するとツイート。最近の価格高騰はこれが引き金とされている。

「5ドル、10ドル、100ドル」。SNS(交流サイト)レディットは5月に入り、ドージコインの投稿が急増している。仮想通貨関連企業ギャラクシー・デジタル・ホールディングスのマイケル・ノボグラッツ最高経営責任者(CEO)は5日、米CNBCに出演し、「(1月に株価が乱高下した)ゲームストップの時と同じく、多くの若者が集まり熱狂している」と述べた。

ドージコインは連日で数十%動いており、まさに1月のゲームストップと似たような状況だ。若者に人気の株取引アプリ「ロビンフッド」はドージコインも取り扱う。ビットコインのように機関投資家や事業会社が買っているわけではなく、ほとんどは個人の投機的売買とみられている。4日にはドージコインの取引が急増し、ロビンフッドのシステムに障害も発生した。

マスク氏によるテレビ出演のツイート以降、特段の材料もないなかで時価総額は400億ドル以上増えた。ノボグラッツ氏は著名な仮想通貨投資家として知られるが「いまドージコインを買うのは危険だ。大金を失う恐れがある」とも話す。ゲームストップ株は1月に時価総額が一時300億ドル近くとなった。ドージコインはその3倍の規模だ。

ただ、ゲームストップ株は1月の高値からは大きく下落したものの、最近でも昨年末の8倍以上の株価がついている。業績不振から抜け出す展望もみえづらいなか、4月には増資で5億ドル以上の資金調達に成功した。

1人1400ドルの政府による現金給付が投資の原資となっているとの指摘もあり、個人投資家の投機の勢いは収まる兆しがみえない。ドージコインの価格の行方は読めないが、投機熱のバロメーターとして市場の注目が集まっている。(ニューヨーク=後藤達也)

※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。

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