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投票制限法、米経済界で抗議広がる テキサスで反対声明

(更新)
ジョージア州での投票制限法に反対する人々=ロイター

【ニューヨーク=山内菜穂子】米経済界で多くの州議会に提出された投票制限法案への抗議が広がっている。南部テキサス州では50を超える企業・団体が連名で反対を表明した。南部ジョージア州で3月末に同様の法律が成立したことを機に反対姿勢を明確にする企業が増えており、政治とのあつれきも目立ってきた。

「テキサス州で選出されたすべての指導者に、有権者の投票権を制限するどんな変更にも反対するように呼びかける」。米ヒューレット・パッカード、マイクロソフト、パタゴニア、地元商工会議所など50を超える企業・団体は4日、共同で書簡を公表し、同州で審議中の投票制限法案に反対した。

これに先立ち同州に本社があるアメリカン航空は4月1日、「投票は民主主義の象徴であり、国の基盤だ」として同法案に「強い反対」を表明した。「我々はテキサスを故郷と呼ぶチームメンバーや顧客の権利のために立ち上がらなければならない」とも語った。

同州の法案は、期日前投票の期間を短縮するほか、郵便投票をする際の身分証明を厳しくする。新型コロナウイルスの感染防止対策として一部の郡が導入し、好評だったドライブスルー方式の投票も禁止する。

テキサス州でも投票制限法案への抗議活動が活発に=AP

米シンクタンクのブレナン・センターの集計によると、同様の法案は全米47の州議会で提出されている。この動きを主導するのは共和党だ。2020年大統領選で郵便投票や期日前投票などの規制緩和が進み、黒人をはじめとする人種的マイノリティー(少数派)が投票しやすくなった。これが共和党候補のトランプ前大統領の敗北の一因になったとの見方がある。

投票制限を強める各地での動きに対し、経済界で反対を表明する先駆けとなったのは黒人経営者だった。ジョージア州での投票制限法の成立を受けて、米製薬大手メルクのケネス・フレージャー最高経営責任者(CEO)ら70人超の黒人の企業経営者が3月末、抗議を表明した。

米製薬大手メルクのケネス・フレージャー最高経営責任者(CEO)=ロイター

4月2日には、米大リーグ機構(MLB)が同法に抗議し、7月に開くオールスター戦の開催地をジョージア州アトランタから変更すると発表。アマゾン・ドット・コムやグーグルなど100を超える企業や経営者も4月14日、連名で抗議声明を公表した。

経済界から相次いで抗議の声があがるなか、南部フロリダ州で4月末、同様の法律が成立した。全米で投票制限の動きを主導してきた共和党は経済界の動きに反発を強めている。

共和党の上院トップ、マコネル院内総務は「米国企業のトップには『政治には口出しするな』と助言したい」と発言。トランプ前大統領もジョージア州に拠点を持ち、法律に反対したコカ・コーラやデルタ航空を名指しして、商品の購入や利用を控えるように呼びかけた。テキサス州のパトリック副知事はアメリカン航空を念頭に「私たちの価値観を共有しない企業にうんざりしている」と語った。

米紙ニューヨーク・タイムズによると、共和党からの批判を受けて、ジョージア州に拠点を置く一部の企業は4月14日の抗議声明への署名を見送ったという。党派による米社会の分断が深まるなか、今後も企業が社会問題への立ち位置に苦慮する場面が増えそうだ。

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