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米「小型核」縮小検討 中ロ軍縮見極め、22年初にも判断

【ワシントン=中村亮】バイデン米政権は核兵器政策の見直しを2022年初めにも完了する方針だ。トランプ前政権は小型核兵器の開発・配備を進めたが、小型核の配備拡大は核戦争のリスクを高めかねないとの懸念があり、縮小を検討する。中国やロシアに対する抑止力維持と軍縮のバランスを見極める。

「陸海空の核戦力の近代化を進めていく必要がある」。コリン・カール国防次官(政策担当)は6月下旬、米シンクタンクのイベントで語った。

核戦略の指針「核体制の見直し(NPR)」を来年初めにも終え、2023会計年度(22年10月~23年9月)の国防予算に反映させると説明した。バイデン政権は今年3月に公表した暫定版の国家安全保障戦略で「核兵器の役割を下げる手段を講じる」と明記した。

バイデン氏は6月、ロシアのプーチン大統領と会談し、核軍縮を含む戦略対話の立ち上げに合意した。26年に期限切れとなる新戦略兵器削減条約(新START)の後を継ぐ枠組みづくりを目指しており、NPRは対ロ交渉の指針にもなる。

焦点は小型核兵器の扱い。大型核は大都市全体を破壊する爆発力を持ち、一般市民にも甚大な被害が生じる。爆発力を抑えた低出力の小型核は戦闘地帯や敵の軍事基地だけを攻撃できる。一般市民の犠牲を回避しやすいとされ、「使いやすい核兵器」との見方もある。空軍は小型核を配備してきたが、トランプ政権は海軍でも類似の能力保有を主張した。

トランプ政権が小型核搭載を前提として開発を始めた海洋発射型の核巡航ミサイル(SLCM)について、国防総省のカービー報道官は6月の記者会見で「再検証する」と説明した。オバマ政権はSLCMを廃棄し、トランプ政権が開発を再開した。

トランプ政権は潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)に搭載する小型核を開発・配備したが、これもカービー氏は再検証の対象だと指摘した。

トランプ政権は小型核による反撃能力を強化すべきだと訴えた。大型核に依存しすぎると中ロは「米国は一般市民の被害を懸念して核兵器を使わない」と考えると主張した。そうなれば米国が同盟国に提供する核抑止力が効きにくくなる、との懸念は米軍でも根強い。

与党・民主党では小型核の配備拡大に反対論が目立つ。米メディアによると、民主党リベラル派のエドワード・マーキー上院議員が反対の立場をとり「資金を国内政策や新型コロナウイルス対策に使うべきだ」との考えを示す。同クリス・バンホーレン上院議員は3月、SLCMの開発を禁じる法案を提出した。

NPRでは、オバマ氏が一時検討した「核先制不使用」の方針を採用するかどうかも焦点だ。リベラル派が採用を迫り、米軍では慎重な意見が多い。オバマ政権時には日本も採用に反対した。

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