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米決済スクエア、ジェイ・Z氏の音楽配信会社を買収

米タイダルを率いてきた著名ラッパーのジェイ・Z氏(左)と米スクエアのジャック・ドーシー最高経営責任者(CEO)

【シリコンバレー=奥平和行】米決済サービス大手のスクエアは4日、著名ラッパーのジェイ・Z氏が率いる音楽配信会社、米タイダルを傘下に収めると発表した。スクエアは中小の小売店などが販売機会を広げる手段を供与して成功を収めており、買収によりアーティストに事業拡大や課金の手段を提供することを目指す。

現金と株式交換により発行済み株式の過半を取得する。買収金額は2億9700万ドル(約320億円)になる見通しで、4~6月期の取引完了を見込んでいる。ジェイ・Z氏はスクエアの取締役に就く一方、ほかのアーティストとともにタイダルの株主として残る。

タイダルは2014年にサービスを始め、現在は56カ国・地域で7000万曲の音楽や動画の配信サービスを手がけている。米ツイッターの最高経営責任者(CEO)を兼務するスクエアのジャック・ドーシーCEOは4日、中小の小売店などを支援してきた経緯を説明し、「アーティストも同様の成功を目にするのを助けられる」と説明した。

ドーシー氏は06年にツイッターのサービスを始め、09年にはスクエアを設立した。ツイッターで多くの人が意見を表明する手段を提供し、スクエアではクレジットカードの読み取り装置や手数料を安価にすることで中小の小売店の販売機会を広げた。ともにサービスの門戸を多くの人に開く「民主化」をテーマとしてきた。

具体的な事業計画は明らかにしていないが、音楽でも同様の手法を追求するとみられる。買収完了後にタイダルの暫定事業責任者に就くスクエアのジェシー・ドロガスカー氏は4日、「新たなアーティストが使うツール、リスナー体験、アーティストの成功を支援するための金融システムを探る」と説明した。

全米レコード協会(RIAA)によると、20年の米国の音楽市場(小売りベース)は前年比9.2%増の122億ドルになった。スポティファイやアップルミュージックといったサブスクリプション型の配信サービスがけん引し、5年連続で市場が拡大した。5年前と比べると市場規模は約8割大きくなっている。

ただ、CDを中心とした時代に比べてアーティストの「取り分」が少なくなっているとの指摘があり、配信サービスの運営企業とアーティストが対立する事例も目立ってきた。また、新型コロナウイルスの感染が広がりアーティストの収益源としての重みが増していたライブやコンサートを開きにくくなったことも逆風となっている。

ドーシー氏は4日、ジェイ・Z氏をはじめとするアーティストがタイダルの株式を保有して経営を主導してきたことを「すがすがしく正しいこと」と評価し、「アーティストにとってより強力なツール、対価を手にする新たな方法を得ることでビジョンを強化できる」と述べた。買収後もアーティストに寄り添う姿勢を強調している。

同氏はツイッターを通じて特定企業が強力に管理しない新たなSNS(交流サイト)の開発を進めている。暗号資産(仮想通貨)ビットコインの支持者としても知られ、スクエアを通じて購入した。いずれも「非中央集権型」という共通点があり、音楽でもプラットフォームを握った大手への反抗が奏功するか注目を浴びそうだ。

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