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米、過激派の捕捉困難に 暗号化アプリ・進む合従連衡

議会占拠から1カ月

(更新)
トランプ前米大統領の支持者は約4時間にわたって連邦議会議事堂を占拠した=ロイター

トランプ前米大統領の支持者が連邦議会議事堂を占拠した事件から6日で1カ月が経過する。表向きは混乱が収まりつつあるが、極右団体「プラウド・ボーイズ」などの過激集団が連絡手段を暗号化アプリに移して外部からの捕捉が難しくなったとされ、メンバーの勧誘活動も続く。米社会の分断は根深く、騒乱再発の芽は消えない。

マヨルカス国土安全保障長官は3日、CNNテレビのインタビューで「憎悪や国内テロという、我々が本土で直面する最大の脅威の一つとの戦いに全力で取り組む」と話した。「脅威は根深い」とも述べ、過激思想との戦いは長期戦になるとの見方も示した。

トランプ氏支持者は1月6日、議会議事堂を約4時間にわたり占拠。民主党のペロシ下院議長らが緊急避難を強いられた様子は世界に衝撃を与えた。米メディアによると、事件に関連した起訴や逮捕の件数は少なくとも183件に上る。

プラウド・ボーイズなどの過激派組織の関係者に加え、一般的なトランプ氏支持者も騒乱に関与した。国土安全保障省は1月末、今後数週間にわたって過激派による暴力行為を警戒するよう全米に呼びかけた。

くすぶる懸念は主に2つある。米人権団体の南部貧困法律センター(SPLC)は2月1日のリポートで、過激派の活動について「追跡が一段と困難になっている」と指摘した。

フェイスブックやツイッターは議会占拠事件を受け、SNS(交流サイト)で極右の陰謀論者「Qアノン」に関連するアカウントなどの削除を強化した。その結果、過激派は暗号化したメッセージを送れるアプリの利用を増やし、活動を隠蔽するようになったとの見方が出ている。

例えば、暗号化メッセージを送れるアプリ「シグナル」は事件の起きた1月6日時点では米国内の「アップストア」のダウンロードランキングで500位に届かなかったが、直後に急上昇し、数日にわたり1位になった。最近は150位前後で推移する。「削除」されないために暗号化に優れるアプリを駆使して活動を続けているようだ。

SPLCによると、白人至上主義や極右などの団体数は2020年に838と前年に比べて11%減った。過激派所属が明らかになると職を失うリスクがあることなどが一因といい、特定の団体に属さない個人も多く、活動実態の捕捉が難しくなっている。SPLCは「団体数の減少が(過激)思想の支持者の減少を意味するわけではない」と分析する。

もう一つの懸念はQアノン信奉者に対する勧誘活動だ。信奉者はバイデン氏の大統領就任は実現しないと信じてきたが、1月20日に同氏が大統領に就任するとネット上には落胆する書き込みが相次いだ。

行き場を失った信奉者を別の過激派が狙う。プラウド・ボーイズがロシア発の無料通信アプリ「テレグラム」に設けたチャットグループには多くのQアノン信奉者とみられる人々が流入した。

陰謀論の広がりが一因となった占拠事件は政界にも波紋を呼んだ。米議会下院は4日、Qアノンを信奉する共和党のマージョリー・グリーン下院議員を所属委員会から除名する決議を賛成多数で可決した。グリーン氏は学校での銃乱射事件を「やらせだ」などと主張したとされ、身内の共和党からも強い批判が出た。

一方、共和党は3日の非公開会合でグリーン氏の処遇を協議したが指導部は委員会からの除名を見送っていた。トランプ氏の熱烈な支持者であるグリーン氏に処分を下せば、トランプ氏支持者の離反を招くリスクがあるためとみられる。過激思想とどのように向き合うのか、共和党はなお態度を決めかねている。(ワシントン=中村亮、シリコンバレー=佐藤浩実、ニューヨーク=白岩ひおな)

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