キヤノン、1台のカメラから複数画像を生成 CESで発表

【ラスベガス=奥平和行】キヤノンは4日、1台のカメラから複数の画像を生成する技術を開発し、2022年春をメドに提供を始めると発表した。ビデオ会議などでの使用を見込み、実際に会議に参加しているのと近い感覚を得られるようにする。新型コロナウイルスの流行に伴って広がった新たな働き方の定着に対応する。
3日に米ラスベガスで開幕したテクノロジー見本市「CES」の会場で発表した。キヤノンUSAの小川一登社長は記者会見で、「新型コロナの流行を機に顧客のニーズが変化しており、企業は迅速に対応する必要がある」と述べた。
新たに開発した技術は「AMLOS」と呼び、会議室に設置したカメラなどから同時に複数の画像を取り出せるようにする。ホワイトボードの前で説明する場面を撮影した場合、ホワイトボードだけを映した画像と説明者に焦点を当てた画像を別々に表示し、臨場感を高めるといった効果を見込んでいる。
ビデオ会議では参加者を撮影するカメラは1台であることが多く、視点を切り替えることができずに画面が単調になりがちだった。まず米マイクロソフトが提供する職場向け協業アプリ「Teams(チームズ)」と連携させ、今春にも利用できるようにする。
また、同社のデジタルカメラやスマートフォンを使い、手軽に3次元(3D)映像によるコミュニケーションをはかれるようにするソフトウエア「Kokomo」の開発を進めていることを明らかにした。市販のゴーグル型の仮想現実(VR)端末と組み合わせて使用することを想定し、年内の発売を目指す。
2年ぶりに会場で開いたCESでは新型コロナの流行を機に広がった新たな生活様式や働き方への対応がテーマのひとつになっている。3日に開いたスタートアップ企業などが参加する展示会「アンベイルド」ではマスクと組み合わせて利用する小型の換気装置などが注目を浴び、韓国LG電子は4日、無人で荷物を届けられるデリバリーロボットの試作品を公開した。
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