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ペンス前米副大統領、トランプ氏に反論「選挙覆せない」

(更新)

【ワシントン=中村亮】2020年の米大統領選の結果を覆すべきだったとするトランプ前大統領の主張をめぐり、共和党の足並みがそろわない。ペンス前副大統領は「誤りだ」と断じたが、党内ではトランプ氏を擁護する声も目立つ。党内の求心力維持を目指すトランプ氏は春に最初の関門を迎える。

ペンス氏は4日、南部フロリダ州で開いた保守派団体のイベントで演説し「合衆国憲法のもとで私に選挙結果を変える権限はなかった」と指摘。「一人の人間が米国の大統領を選べるという発想ほど非アメリカ的な考えは他にない」と強調し、トランプ氏に苦言を呈した。

ペンス氏は副大統領在任中に大統領のトランプ氏へ強い忠誠心を示してきた経緯があり、名指しでトランプ氏を批判するのは珍しい。

トランプ氏は1月30日の声明で、副大統領に大統領選の結果を変える権限があると主張し「残念ながら彼(ペンス氏)はその権限を使わなかった。選挙を覆せたのに!」と訴えた。

大統領選は州ごとに大統領選の勝敗を認証し、その結果を各州が連邦議会に送付。上院議長を務める副大統領が上下両院合同会議を開き、各州の結果を読み上げて集計し、勝者を確定する。トランプ氏は会議の進行役のペンス氏がいくつかの州での不正を指摘し、結果を認めない手続きをとることができたと主張しているとみられる。

専門家の間でトランプ氏の主張を支持する声はほとんどない。各州の結果に異議があれば上院と下院がそれぞれ投票して結果の有効性を確定する手続きがあり、副大統領の権限は極めて小さいとみられている。ペンス氏の反論は自然ともいえる。

だが共和党ではトランプ氏の影響力が残り、「当然」のことを公の場で言いにくい雰囲気がある。共和党全国委員会は4日、西部ユタ州で開いた会合で同党のリズ・チェイニー、アダム・キンジンガー両下院議員に対する非難決議を採択した。

両氏は21年1月6日に起きた連邦議会占拠事件の真相を追及する下院特別委員会に参加している。特別委員会はトランプ氏が事件を扇動した疑いがあるとして当時のトランプ氏の言動を詳細に調べている。共和党では事件に関してトランプ氏を擁護する意見が多く、両氏に批判が強まっていた。

米CNNテレビによると非難決議は議会占拠事件での暴力行為を非難しつつ、平和的に選挙不正を訴えて選挙結果を覆すべきだとした主張などは「合理的な政治的議論」と評価している。トランプ氏の主張にお墨付きを与える決議との受け止めが目立つ。

揺れる共和党でのトランプ氏の求心力の強さを測る試金石が、今年11月の中間選挙に向けた予備選だ。予備選は春ごろから本格化し、中間選挙で民主党と戦う共和党候補を1人に絞る。

アラスカ州でトランプ氏は共和党・現職のリサ・マカウスキ上院議員を批判し、対抗馬の支持を表明している。マカウスキ氏はこれまでにトランプ氏へ批判的な言動が目立ったからだ。西部ワイオミング州選出のチェイニー氏に対しても、トランプ氏が支持する候補が出馬している。

トランプ氏が支持する人物が共和党内の候補選びを勝ち抜けば、24年の大統領選への出馬を探るトランプ氏に追い風となる。敗北が相次げば求心力が一気に下がるリスクもはらんでいる。

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