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「#AppleToo」運動、株主動かす 人権監査迫る議案可決

(更新)

【シリコンバレー=白石武志】「優等生」的な企業文化で知られる米アップルの職場でも、人種差別やセクハラがはびこると訴える従業員らの運動が株主を動かした。4日に開いた株主総会では、職場の人権問題について監査を求める株主提案が賛成多数で可決した。取締役会は対策は十分だとして議案に反対していたが、今後の対応を誤ればブランドイメージに響くおそれもある。

「今こそアップルは平等と公平に対する約束について、第三者による誠実な人権監査を確立する時だ」。議案提出を主導した米投資会社SOCインベストメントグループの幹部は4日付の声明でアップル経営陣に態度変更を迫った。

アップル社内では近年、性別による賃金格差や人種間の不平等、セクハラ被害などを訴える声が高まっていた。従業員らへの聞き取り調査を実施したSOCインベストメントによると、500人以上が職場での被害に関する証言を提出したという。

2017年に米ハリウッドの女優らがツイッター上などでセクハラ被害を訴えた「#MeToo」運動にならい、「#AppleToo」と名乗る従業員グループも出現した。同グループはウェブサイトを立ち上げ、職場の不正を訴えた従業員らが報復的な処遇に直面した事例などを公表。「アップルの秘密主義の文化は、不透明で威圧的な要塞をつくりだした」と主張していた。

すでに目的は達成しているとしてアップル取締役会が議案に反対するよう株主らに促したのに対し、ESG(環境・社会・企業統治)を重視する姿勢を強める米国の議決権行使助言大手2社はいずれも賛成を推奨。株主らの投票行動に注目が集まっていた。

秘密主義のリスクめぐる議案も可決

米国では多くの場合、株主提案に法的拘束力はない。可決した議案の扱いについて、アップル経営陣側のコメントは得られていない。議案提出に加わった国際サービス従業員労働組合(SEIU)の幹部は声明で「株主への約束を果たすよう取締役会に働きかけ続ける」と述べた。

4日の株主総会には中国のサプライチェーン(供給網)における強制労働のリスクを開示するよう求める議案など計6件の株主提案が出された。人権監査を求める議案のほかにも、従業員らに対する秘密保持条項のリスクを開示するよう求める議案が僅差で可決した。

アップルに人権監査の導入を迫ったSOCインベストメントは格差などの社会問題をめぐって米企業の取締役会の責任を追及する「アクティビスト(物言う株主)」として知られる。21年にはバンク・オブ・アメリカやモルガン・スタンレーなどの米大手銀に対し、人種間の平等について説明責任を求めるキャンペーンを始めている。

トランプ前政権下では「企業寄りだ」と批判されることが多かった米証券取引委員会(SEC)は21年秋に株主総会に関する指針を見直し、環境や人権など広く社会的な影響を持つ問題を提起する株主提案を議案として通りやすくした。ESGについて企業に高い説明責任を求めるバイデン政権の意向を反映したとみられている。

9日に開かれる米ウォルト・ディズニーの株主総会でも、保守系の米シンクタンクから職場に差別がないかどうかを監査するよう求める株主提案が出される予定だ。アップル取締役会に方針転換を迫った従業員らの動きは、他の米企業にも連鎖する可能性がある。

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