米、コロナ入院者が最多の12.5万人 NY州でも変異種

【ニューヨーク=野村優子】米国で新型コロナウイルスによる入院者数が3日時点で12万5500人超となり、過去最多を更新した。人の集まりや移動が増えたクリスマスや年末年始の休暇を経て、新規感染者数は再び増加している。4日にはニューヨーク州でも感染力の高い変異種が確認され、今後の感染拡大に懸念が高まっている。
米ジョンズ・ホプキンス大によると、4日時点の米国の感染者数は2070万人超、死者は35万人を超えた。一時落ち着いていた新規感染者数は3日に21万人を上回り、再び増加傾向をみせている。
特に、重症化による入院患者が増えている。米国の感染状況を分析する「COVIDトラッキング・プロジェクト」によると、3日時点の入院者数は12万5544人となり、1カ月間で25%増加。集中治療室(ICU)にいる患者数は約2万3000人、使用中の人工呼吸器の数も約7900台と、いずれも高水準で推移している。

病床不足は各地で起きている。米保健当局によると病院のICUの利用率は、入院者数が2万人超と全米最多のカリフォルニア州で88%、テキサス州が87%、ジョージア州が91%、アラバマ州は92%に達している。ミネソタ大学の分析によると、一部の大都市圏ではICUの4~6割以上を新型コロナの重症患者が占めているという。
また、低調なワクチンの接種ペースについて懸念も広がる。米疾病対策センター(CDC)によると、4日時点で約1540万回分のワクチンが供給されたものの、実際に接種されたのは約456万回分。2020年内に2000万人のワクチン接種を目指した米政府の目標を大幅に下回っている。
ニューヨーク州のクオモ州知事は4日、一部の病院でワクチン接種率が低いことを指摘し、「週内にワクチンの在庫を使いきらない場合、最大10万ドル(約1030万円)の罰金を科す」と発表した。さらに、ワクチンを受け取り後7日以内に使用しなければ、将来ワクチンの供給を受けられなくなる可能性があるとした。
クオモ知事は同日、英国などで拡大している感染力の高い新型コロナの変異種が、ニューヨーク州で初めて確認されたと発表した。変異種の感染者に渡航歴はないという。これまで米国では、カリフォルニア州やフロリダ州、コロラド州で変異種が確認されている。
より多くの人にワクチンを接種するため、欧州では2回目の接種時期を遅らせようとしている。英国は本来3~4週間後としている2回目のワクチン接種について最大3カ月の間隔を空けることを認め、より多くの人に1回目を行き渡らせるようにした。ドイツやデンマークでも同様の措置をとる動きが出ている。一方、米国立アレルギー感染症研究所のファウチ所長は米メディアに対して「米国では製薬会社の規定通りに接種を行い、2回目を遅らせることはない」と述べた。
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