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米当局、ロシア中銀の「制裁逃れ」けん制 議会に強硬論

(更新)

【ニューヨーク=宮本岳則】世界の金融機関が対ロシア経済制裁の最前線に立たされている。米財務省は7日、ロシアによる制裁回避の動きに警戒を呼びかけた。米国の資産を凍結されたロシア中央銀行は、輸出業者を代理人として資金を調達しようとしたという。米議会の強硬派からは、ロシアの銀行と取引を続ける非米国企業も罰則対象に含めるよう求める声が上がっている。

米財務省傘下の金融犯罪取り締まりネットワーク(FinCEN)は7日、米国の金融機関に対し、制裁回避の可能性について警戒するよう勧告した。送付した文書の中では、制裁逃れを見抜くための「レッドフラッグ(危険信号)」を具体的に示した。疑わしい活動を見つけた場合、銀行秘密法に基づき、当局への報告を求める。

FinCENのヒム・ダス局長代行は声明で「ロシアへの経済的圧力が高まるなか、米国の金融機関は、国家主体とオリガルヒ(新興財閥)による制裁逃れの可能性に警戒することが極めて重要だ」と述べた。「暗号通貨などの手法を用いた制裁回避は広まっていない」としながらも、金融機関に協力を求めた。

すでに制裁逃れの兆候はある。米財務省の外国資産管理局(OFAC)は2日、ロシア中銀が輸出業者を代理人に使って自国通貨ルーブルを下支えするための資金を調達しようとしたと明かした。2月28日発表の制裁でロシア中銀はドル資産を凍結された。米金融機関が制裁回避を手助けする行為も禁止されている。意図せずして制裁逃れを助けてしまうリスクもあり、注意を呼びかけた形だ。

米欧の金融機関は制裁への対応に追われている。オバマ米政権下のOFACでシニアアドバイザーを務めたアダム・スミス弁護士は「今回の制裁は広範囲に及ぶだけでなく、非常に頻繁に変更されるため、複雑なものになっている」と指摘する。金融機関は制裁対象をスクリーニングする体制を整備しているが、「事態が急速に変化し、多数の資産を持つ巨大企業がリストに加えられると、困難に直面する」と話す。

米国と欧州連合(EU)は2014年のクリミア併合以降、ロシアに対する制裁措置を導入した。金融機関も法令順守体制の整備を進めている。今回はロシア中銀やロシア最大手ズベルバンクとの取引禁止に踏み込んだ一方、エネルギーの輸入などで例外措置が認められ、銀行側の対応を複雑にしている。

米国の金融機関や企業はロシア企業との取引継続に不安を感じている。ロシアによるウクライナ侵攻が長期化するなか、米欧当局によって新たな制裁が加えられたり、例外措置がなくなったりするリスクが残るからだ。

二次制裁が焦点に

米議会では強硬論が浮上している。野党・共和党の上院銀行委員会トップ、パット・トゥーミー上院議員は2月下旬、「ロシアの銀行にはイラン式の二次制裁を科し、世界がロシアと取引するか米国と取引するかの選択を迫らなければならない」と主張し、米政府に追加措置を求めた。

二次制裁とは、米国以外に本拠を置く海外の銀行が、米国の制裁リストに入ったロシアの銀行と取引を継続した場合、制裁対象とする措置だ。第1次オバマ米政権がイランに核開発の放棄を要求し、二次制裁を科した。経済的に追い込まれたイランはその後に交渉のテーブルについた経緯がある。

中国の銀行は、ロシアとの取引で二次制裁の対象になることを警戒しているとされる。仮にロシアの銀行が中国の銀行にドル調達の手助けを依頼しても、中国側は二次制裁のリスクを意識せざるを得ない。ある米法律事務所で金融機関に制裁対応を助言する専門家は「ロシアの銀行が制裁逃れを試みようとしても、実際には高いハードルがある」と語る。

米欧当局による金融制裁が厳しさを増すほど、ロシアによる報復のリスクは高まる。仏ソシエテ・ジェネラルは3日、ロシアでの銀行資産を接収される可能性に言及した。

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