米新聞大手NYタイムズ、総有料読者750万人突破
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【ニューヨーク=清水石珠実】米新聞大手ニューヨーク・タイムズ(NYT)は4日、2020年12月末時点で電子版の有料読者数が500万人を超えたと発表した。アプリや紙媒体を合わせた総有料読者数は750万人超。新型コロナウイルスの感染拡大や米大統領選などを通じて、米国民の間で信頼できる情報や質の高い報道への関心が高まったことが有料読者の拡大につながった。
NYTが4日に発表した20年10~12月期決算のなかで明らかにした。20年末時点での電子版の有料読者数は前年比48%増の509万人。1年間で約166万人増えた。クロスワードや料理レシピのスマートフォン向けアプリを含めると、デジタル関連の有料会員数は同52%増の669万人となった。総有料読者数は750万人を超え「25年までに有料読者数1千万人の実現」を経営目標に掲げている。
20年10~12月期決算で、売上高は5億935万ドル(約540億円)と、前年同期比でほぼ横ばいとなった。年金関連の特別費用の計上などが響いて、純利益は同85%減の1000万ドルとなった。売上高全体の6割以上を占める購読料収入は15%増加したが、広告収入は19%縮小した。
1株利益は0.06ドル(前年同期は0.41ドル)。特殊要因を除いた1株利益は0.40ドルと、市場予想(0.35ドル程度)を上回った。
NYTが電子版の有料化に踏み切ったのは11年のことだ。メレディス・コピット・レビアン最高経営責任者(CEO)は決算会見のなかで、「この10年間で(質の高い)ジャーナリズムにはお金を払って購読してもらえるということが証明できた」と語った。