FRB副議長、利上げ条件 「22年末に整う可能性」
(更新)

【ワシントン=大越匡洋】米連邦準備理事会(FRB)のクラリダ副議長は4日の講演で、米経済は回復期から拡大期に入ったと指摘し「2022年末には利上げの条件が満たされると考えている」と述べた。23年にゼロ金利を解除するという現在の政策見通しを支持する考えを表明した。
クラリダ副議長は「23年に金融政策の正常化を始めることは我々の柔軟な平均インフレ目標の枠組みと完全に一致する」と語った。FRBの米連邦公開市場委員会(FOMC)参加者の6月時点の政策見通しでは23年に利上げし、ゼロ金利を解除するとの想定が中央値だった。参加者18人のうち7人は22年中の利上げを予想した。
クラリダ副議長は就業者数が新型コロナウイルスの危機前の水準をなお700万人近く下回っていることに触れて「雇用は依然として回復期にある」と説明した。22年末までに雇用が十分な回復を遂げるとの見方を紹介した。
一方、食品とエネルギーを除く個人消費支出(PCE)物価指数がFOMCの予測通り21年に3%になるか、確実に3%を上回る場合、「私は2%の長期インフレ目標に対する『適度な』超過とはみない」と強調。「インフレの見通しに対するリスクは上向きだ」との見解を示した。
6月のコア指数の前年同月比の伸び率は3.5%と約30年ぶりの高水準となり、4カ月連続で2%を上回っている。
国債などの資産を買い入れる量的緩和の縮小(テーパリング)の開始については「今後の会合で経済の進捗を再度評価する。購入額を変更する際には事前に通知する」などと述べるにとどめた。